米国のイラン攻撃の影響が世界に波及しているが、中東危機はけっして想定外ではない(写真:Adobe stock)

繰り返されてきた中東の危機事態

米・イスラエルとイランの戦争が勃発し、ホルムズ海峡が封鎖された。日本ではその影響を受け、目に見えるところではガソリン価格が高騰、政府は備蓄の独自放出をG7諸国に先駆けて発表している。長期化すれば国家の屋台骨を揺るがす危機事態につながりかねないことを否定する人はいないだろう。

中東危機による原油価格高騰は何度も繰り返されてきたこと(写真:Adobe stock)

ただしこれまでも、中東情勢は第三次世界大戦につながる火薬庫であり、ホルムズ海峡封鎖は相当な確率で現実に起き得る危機事態だということは疑いようのない事実であった。実際、そのことを想起させる事態は初めてではなく、下記のとおり過去に繰り返されている。

①第一次オイルショック(1973年):OPECによる原油生産削減・輸出禁止

②第二次オイルショック(1979年):イラン革命による産油量大幅減

③イラン・イラク戦争(1984年〜):ペルシャ湾内のタンカー攻撃激化

④湾岸戦争(1990年〜):イラクによるクウェート侵攻、多国籍軍による攻撃

⑤イラン核合意から米国離脱(2019年):オマーン湾でのタンカー攻撃

そのたびに経済的な打撃を受けているのだが、リスク対策は果たしてなされているのだろうか。

確かに、日本では原子力や液化天然ガス(LNG)の導入など、エネルギー源の多様化を図り、他国と比較して潤沢な約250日超の量を備蓄している。しかし、それで十分なのだろうか、ほかに方法はなかったのだろうかという疑問は消せない。

「化石燃料に頼らない国づくりが必要」と言い出す環境推進派の声も聞こえてくるが、筆者に言わせれば、この考えは非現実的でバランスを欠き、ポジショントークと感じざるを得ない。その理由にはていねいな説明が必要だろうが、今回の論考から逸れる部分なので、この場ではここまでに留めさせていただく。

あくまで石化資源の利便性を最大限に享受しつつ、リスクにも適切に対処する必要性について考えるべきだろう。日本は過去にエネルギーの調達網を絶たれ、米国との開戦が避けられなくなった。この歴史的事実を考えても、日本のアキレス腱となる事柄だからだ。