リスク視点でみる「ホルムズ封鎖」対策
第111回:リスクに立ち向かえない日本(4)
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
2026/05/07
再考・日本の危機管理-いま何が課題か
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
イラン戦争の情勢やホルムズ海峡封鎖の影響を受けて、世界中のサプライチェーンが目詰まりを起こし、機能不全状態に陥っている。その中でも大きな影響を受けている日本では、多くの企業のバイヤーがナフサ由来製品の調達に東奔西走の多忙な毎日を送っているだろう。
この記事が、当事者の方々の目に触れれば、強烈なお叱りやご批判をいただくかもしれない。それでも、敢えて承知のうえで、このタイミングで書かせていただこうと思う。筆者自身、バイヤーの責任者として有事に立ち向かい、経営幹部という経験も持っている。そうした経験を踏まえたうえで、以前からサプライチェーンの強靭化の必要性を声高に訴えてきたからこそ、現実的な危機に直面している今、言うべきだと確信しているのだ。真摯に耳を傾けていただけると、ありがたい。
まずは、結論から申し上げたい。どんな危機状態であろうとも、その中でも特に、社会全体に同様の危機状態が広がっている場合は、平時と同じ調達網で調達を行うべきだと断言したい。そうできる様に平時に対策を打っておくべきなのであり、有事になって慌てて新規のルートを開拓するなどの行為は、愚の骨頂だと言わせていただく。
最初に申し上げた通り、多くの企業のバイヤーだけでなく経営者の方々をも敵に回しかねない発言だと、自身で認識はしている。
「この危機状態で平時と同じルートだけでは充分な量の調達ができず、生産活動に支障をきたす」「必要量の確保と、先々の不安にも対応する在庫も視野に入れて調達するためには、新規開拓なども含めたルート拡大が必要不可欠であり、各企業の生き残りをかけた活動なのだ」「何も分からずに無責任な発言はするな」。
こういったお叱りの言葉をいただくかもしれない事は、十分に承知している。
しかし、なぜ平時にその備えをしてこなかったのかと、むしろ問わせていただく。ホルムズ海峡封鎖が想定外だったという言い訳は成立しない。中東情勢によるサプライチェーンへの影響は今回が初めてではなく、容易に想定できる危機事態であって、想定外のはずがないからだ。
結果的に、消極的リスク保有(受容)になってしまっているのであり、自責の判断なのだからジタバタするなと言いたいのだ。それが嫌なら、きちんとリスクとして評価し、事前に低減策を実行しておくべきだったのだ。
ここまで言及するのには理由がある。このジタバタする活動が、社会の全体最適で考えた際に悪影響を及ぼすからであり、自社にとってもドタバタの中で、新たな想定外のリスクを発生させかねないからだ。
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