転覆事故のイメージ。今回の事故では、運航の安全管理体制が問われている(写真:Adobe stock)

辺野古沖転覆事故が起きた。未来を嘱望された同志社国際高校の生徒と、高齢の船長の二人が亡くなり、多くのけが人も出た。謹んでお悔やみを申し上げたい。

この事故に関する事実が判明してくると、余りにも杜撰で、余りにも理不尽な実態が垣間見え、憤りを禁じ得なくなってきた。また、例によって一部のオールドメディアは、タブー視し核心に触れたがらない様子が見えてくるが、ネットの情報環境と産経新聞を中心に様々な情報が発信されている。ただ、複数の全く異なる問題が混同されていることに留意し、リスク視点で再発防止も含めて丁寧に検証すべきだろう。

最初の観点は、基本中の基本である船舶の運航に関わる安全管理体制の問題だ。

記憶に新しいのは、2022年に起きた知床遊覧船沈没事故、いわゆるカズワン沈没事故だろう。この時の対策として、国交省で「旅客船の総合的な安全・安心対策」を取りまとめている。具体的な対策としては、

  • ①事業者の安全管理体制強化
  • ②船員の資質向上
  • ③船舶の安全基準強化
  • ④監査・処分の強化

であり、①に関しては、事業の登録制として事業許可の更新を必要とし、安全基準遵守の徹底を図り、②で船員の知識や能力向上を目指し、③で各種ルールを明確化し、④の抜打ちも含めた監査で安全管理の徹底を図るものだ。

ところが、この1丁目1番地の登録が今回の船舶では行われていないことが分かっている。つまり、対策を何ら実施していなくても誰にも分からない、無登録運航なのだ。

ボランティアなので必要性を感じてないという主旨の言い訳も聞こえてくる。だが、ボランティアでも人を乗船させて運航していたのだから、金銭の授受は問題にならず、何の言い訳にもならない事は明白だろう。

客を乗せて運航する船舶には、一層の安全管理が求められる(写真:Adobe stock)

従って、安全管理のルールに関して推して知るべしで、次から次へと余りにも酷い現実が明るみにされている。

「乗船名簿が存在しない」「救命胴衣の装着指導がなされていない」「出航判断基準が不明確」「海上保安庁の危険通告を無視」「地元漁師も近寄らない危険水域への侵入」「沈没時の通報がなく、救助活動の基本も逸脱」「危険な速度での運航」「無免許生徒に操舵体験」など、出鱈目すぎて開いた口が塞がらない。事業申請がなされていれば、まず間違いなく許可は下せない状態なのだ。これだけでも即刻立件すべき事案だろう。