2016/04/05
防災・危機管理ニュース
内閣府防災担当は3月31日、「企業の事業継続及び防災の取り組みに関する実態調査」を公表した。調査によると、大企業におけるBCPの策定率は前回(2007年度)比6.8%増の60.4%。中堅企業では同比4.6%増の29.9%だった。「策定中」「策定を予定している」と回答した企業を含めると、大企業では92%、中堅企業では72.2%となった。
調査は2007年度から隔年で実施し、今年で5回目。調査開始時は「BCPとは何かを知らない」中堅企業が61%だったが、今回の調査では7%まで減り、関心の高さがうかがえる一方で、政府は2020年までに大企業のほぼ100%、中堅企業の50%のBCP策定割合の目標を掲げており、実現に向けた対策が急務となっている。
![](https://risk.ismcdn.jp/mwimgs/e/8/670m/img_e8ddfe78e788dcdfb02fceb416eb5209225308.jpg)
調査は今年1月21日から2月29日まで行われ、調査対象5070社に対し、1996社から有効回答を得た。企業規模の内訳は大企業861社、中堅企業556社、そのほか企業が579社。
今回から追加した「企業活動を取り巻くリスクを具体的に想定して経営を行っているか」との質問に対しては、大企業85.4%、中堅企業60.8%が「行っている」と回答した。
対策を行っている企業に対し、「想定しているリスク」を質問したところ、大企業では「地震・台風などの自然災害」(98.3%)が最も多く、「新型インフルエンザ等の感染症」(70.6%)、「外部委託先のサーバー・データセンター等情報システムの停止」(66.8%)と続いた。中堅企業では1位2位は大企業と同じだったが、3位に「通信(インターネット・電話)の途絶」が入った。
![](https://risk.ismcdn.jp/mwimgs/6/c/670m/img_6c64967c0e00f2c988d0190ee1833847133444.jpg)
![](https://risk.ismcdn.jp/mwimgs/6/5/670m/img_65081896b8d6bf818b456f5295a6eaee171949.jpg)
調査を公表した内閣府参事官政策統括官(防災担当)付の齊藤馨氏は「内閣官房国土強靭化推進室が実施する政府による企業のBCP認証制度などとも連携し、企業のBCP策定をさらに加速していきたい」としている。
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
3線モデルで浸透するリスクマネジメントコンプライアンス・ハンドブックで従業員意識も高まる【徹底解説】パーソルグループのERM
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、総合人材サービス事業を展開するパーソルグループでは、2020年のグループ経営体制の刷新を契機にリスクマネジメント活動を強化している。ISO31000やCOSO-ERMを参考にしながら、独自にリスクマネジメントの体制を整備。現場の業務執行部門(第1線)、ITや人事など管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)でリスクマネジメントを推進する3線モデルを確立した。実際にリスクマネジメント活動で使っているテンプレートとともに、同社の活動を紹介する。
2024/07/23
-
インシデントの第一報を迅速共有システム化で迷い払拭
変圧器やリアクタなどの電子部品や電子化学材料を製造・販売するタムラ製作所は、インシデントの報告システム「アラームエスカレーション」を整備し、素早い情報の伝達、収集、共有に努めている。2006年、当時社長だった田村直樹氏がリードして動き出した取り組み。CSRの一環でスタートした。
2024/07/23
-
「お困りごと」の傾聴からはじまるサプライヤーBCM支援
ブレーキシステムの開発、製造を手掛けるアドヴィックスは、サプライヤーを訪ね、丁寧に話しを聞くことからはじまる「BCM寄り添い活動」を2022年度から展開している。支援するのは小規模で経営体力が限られるサプライヤー。「本当に意味のある取り組みは何か」を考えながら進めている。
2024/07/22
-
-
危機管理担当者が知っておくべきハラスメントの動向業務上の指導とパワハラの違いを知る
5月17日に厚生労働省から発表された「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、従業員がパワハラやセクハラを受けていると認識した後の勤務先の対応として、パワハラでは約53%、セクハラでは約43%が「特に何もしなかった」と回答。相談された企業の対応に疑問を投げかける結果となった。企業の危機管理担当者も知っておくべきハラスメントのポイントについて、旬報法律事務所の新村響子弁護士に聞いた。
2024/07/18
-
基本解説 Q&A 線状降水帯とは何か?集中豪雨の3分の2を占める日本特有の現象
6月21日、気象庁が今年初の線状降水帯の発生を発表した。短時間で大量の激しい雨を降らせる線状降水帯は、土砂災害発生を経て、被害を甚大化させる。気象庁では今シーズンから、半日前の発生予測のエリアを細分化し、対応を促す。線状降水帯研究の第一人者である気象庁気象研究所の加藤輝之氏に、研究の最前線を聞いた。
2024/07/17
-
-
災害リスクへの対策が後回しになっている円滑なコミュニケーション対策を
目を向けるべきOTリスクは情報セキュリティーのほかにもさまざま。故障や不具合といった往年のリスクへの対策も万全ではない。特に、災害時の素早い復旧に向けた備えなどは後回しになっているという。ガートナージャパン・リサーチ&アドバイザリ部門の山本琢磨氏に、OTの課題を聞いた。
2024/07/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方