【北京時事】昨年11月の高市早苗首相の台湾有事に関する発言から7日で半年。発言に強く反発する中国の習近平政権は、対日強硬姿勢を崩していない。関係改善の糸口は見えないままで、経済や民間交流の分野でも中国側の対抗措置による影響が広がっている。
 「日本向けの一部レアアース(希土類)は輸出許可が出ない」。中国駐在の日系メーカー幹部はこう打ち明ける。中国商務省は今年1月、レアアースを含む軍民両用品の対日禁輸措置を発表。3月のレアアース磁石の対日輸出量は、前年同月比27.2%減少した。
 日系企業は公的イベントから排除され、幹部が地方政府関係者と面会するのも難しい状況だ。日系食品メーカー幹部は「『日本いじめ』は年単位で続くかもしれない」と危機感を示す。
 民間の往来も細っている。日本側統計では1~3月の中国からの訪日客は前年同期比54.6%減った。中国政府が国民に日本への渡航自粛を求めたことが背景にある。関係者によると、一部大学では日本への交換留学生の派遣を見送る動きも出ているという。
 習政権は当初は高市氏の発言撤回を要求することに重点を置く態度だった。しかし、最近では批判の矛先を高市政権の安全保障政策全体に広げ、武器輸出の原則解禁などを「新型軍国主義」の現れだと決め付けている。極東国際軍事裁判(東京裁判)が開廷して80年となった今月3日には、中国外務省報道官が談話を公表。「80年後の今も軍国主義の毒が根絶されず、ひそかにはびこっている」と主張した。
 6月には、日中友好7団体の一つである日本国際貿易促進協会(会長・河野洋平元衆院議長)の代表団が訪中する予定。高市氏の発言後、7団体が公式訪問するのは初めてとなる。「中国側は河野氏が高市政権に批判的だから受け入れた」(関係者)とされ、政府間の本格的な対話再開につながる可能性は低いとみられている。
 日本側は、11月に中国で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を局面打開の契機にしたい考え。ただ、トランプ米政権や欧州諸国と関係安定化を進める習政権に日本との対話に乗り出す動機は乏しく、「環境の変化を待つしかない」(日中関係者)のが実情だ。 
〔写真説明〕中国の習近平国家主席=3月11日、北京(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)