【北京時事】中国でまた、日本人が巻き込まれる事件が起きた。19日に上海の日系オフィスビル内の日本料理店で起きた事件では、日本人2人を含む3人が男に果物ナイフで切り付けられて負傷。容疑者の動機は不明だが、日中関係の悪化で反日感情の高まりが懸念されているだけに、在留邦人の不安は高まっている。
 「反日感情を持つ人がどこにいるか分からず安心できない。類似の事件が続かないか心配だ」。北京在住の40代の邦人女性はそう話す。
 中国では、2024年6月に江蘇省蘇州市で日本人学校のスクールバスを待っていた日本人母子が刃物を持った男に襲われ負傷、バス案内係の中国人女性が死亡する事件があった。同年9月18日には広東省深セン市で、日本人学校に登校中の男子児童が男に刃物で刺され死亡する事件が起きた。その日は、満州事変の発端となった柳条湖事件の記念日だった。
 いずれの事件も、日本人を狙ったのかは明らかにされないまま犯人に死刑が執行され、幕引きが図られた。今回の上海の事件も、地元当局は容疑者に「精神疾患の治療歴があった」と発表。蘇州や深センの事件と同じく「偶発的」な事件として処理する方針とみられる。
 だが、昨年11月の高市早苗首相の台湾有事に関する発言に強く反発する習近平政権は、対日批判宣伝を続けている。上海の事件現場は日本人の利用が多い日本料理店で、容疑者が習政権の宣伝に影響された可能性も否定できない。
 中国では、無差別殺傷事件も多発している。景気低迷に伴う社会への不満が背景にあるとされ、失業などで希望を失った人々の鬱憤(うっぷん)が反日感情と結びつく懸念は拭えていない。 
〔写真説明〕19日、切り付け事件があった上海市浦東新区の日系オフィスビル「上海環球金融中心」

(ニュース提供元:時事通信社)