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保険会社はAIに関する包括的な適用除外条項を導入しつつある

企業におけるAI導入は拡大しているが、同時に保険市場では静かな危機が進行している。AI関連の訴訟はここ数年で増加しているにもかかわらず、保険会社は補償範囲を拡大するどころか、むしろAI関連保険から撤退しようとしているのだ。サイバー保険、専門職業賠償責任保険(E&O)*)、一般賠償責任保険の更新時に、保険会社はAIに関する包括的な適用除外条項を急速に導入しつつある。

*)訳者注:E&O保険(Errors and Omissions Insurance)とは、事業者や専門職が業務上の過失、誤り、書き漏らし、助言の不備などによって顧客に経済的損害を与えた際に追う賠償責任を補償する専門職賠償責任保険(Professional Liability Insurance)の一種。日本でも付保できる。

多くのリスクマネージャーは、データや専門サービスに関連する損失であれば、標準的なサイバーおよびテクノロジー関連の専門賠償責任保険(E&O保険)で補償されるという前提で業務を行っている。歴史的に見ると、それは事実であった。従来の保険契約は人工知能(AI)についてほとんど言及しておらず、補償範囲が不明確で、請求後に法務部門と引受部門の間で争いが生じることも少なかった。しかし、こうした認識は変化しつつある。

予測不可能なアルゴリズムリスクに直面し、商業保険の引受担当者は、受動的な沈黙から積極的な除外へと方針転換している。近年の更新サイクルにおいて、保険会社は「自律的意思決定システム」「生成出力」「アルゴリズム処理」に起因する請求について、包括的かつ絶対的な除外条項を静かに導入しつつあるのだ。

保険市場の論理は単純だ。従来の保険料は、大規模言語モデルがもたらす体系的な集約リスクを考慮して設定されていなかった。保険会社は、これらのリスクを標準的な財産保険*)、賠償責任保険、サイバー保険から完全に切り離すことで、日々の企業活動と実際のバランスシート保護との間に大きなギャップを生み出している。

*)訳者注:「標準的な財産保険」とは、法人の事業用建物・設備・什器や、個人の住宅・家財などの実体ある財産(有形固定資産)が、火災や風水害などの事故によって生じた「物理的な損害(対物損害)」を補償する一般的な損害保険全般を指す。