2026/09/12
防災・危機管理ニュース
熊本地震で最大震度6弱を観測した熊本県御船町。1890(明治23)年創業の「池田活版印刷所」では、床一面に散乱した金属製の活字を一つ一つ拾って元の棚に戻す作業が続いている。1カ月が過ぎても終わりが見えていないが、5代目代表の吉田典子さん(72)は「10年前の地震でも再開できたから、今回も」とボランティアの支えを受けながら早期再開を目指している。
印刷所では大小さまざまで「数万個くらい」(吉田さん)ある活字から必要なものを拾い、空白部分を調整しながら組み上げて、主に名刺や案内状などを印刷している。文字の凹凸やインクの濃淡など「アナログの世界にしかない味」が喜ばれているといい、曽祖父から続く伝統を一人で守り抜いてきた。
7月28日夕は、印刷作業に取りかかろうとしていたところで、立っていられないほどの激しい揺れに襲われた。棚から活字が落ちるのを目の当たりにしながら外へ避難。「あぁ、まただ」。揺れが収まって中に戻ると、10年前の熊本地震で見た光景が目の前に広がっていた。
全体の7、8割が落下した前回よりは少ないものの、半分ほどの活字が散らばったといい、落下の衝撃で破損したものもあった。
そんな吉田さんを支えているのが、県内各地などから駆け付けているボランティアだ。多い日は約10人が文字や大きさを見極めながら活字を拾い、元の棚へ戻している。何度も手伝いに訪れている同県合志市の森理恵子さん(73)は「自分にできることがあれば、これからも手伝いたい」と笑顔を見せる。
10年前もボランティアの支援を受けながら、半年で営業再開にこぎ着けた。今回はより多くの支援を受けているといい、「皆さんがいなければとても終わらない」と感謝しきりの吉田さん。気の遠くなるような作業の先にある再開を見据え、「活字の温かさ、楽しさを広めたい」とほほ笑んだ。
〔写真説明〕地震による被害状況を説明する池田活版印刷所代表の吉田典子さん=8月25日、熊本県御船町
〔写真説明〕被災した池田活版印刷所と代表の吉田典子さん=8月25日、熊本県御船町
〔写真説明〕地震で散らばった活字を見詰める池田活版印刷所代表の吉田典子さん=8月25日、熊本県御船町
〔写真説明〕地震で散乱した後、拾い上げられた活字=8月25日、熊本県御船町
(ニュース提供元:時事通信社)




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