第4回 東京電力の現状と将来の見通し

眞崎 達二朗
眞崎リスクマネジメント研究所代表、GRC ジャパン株式会社顧問。コンサルビューション株式会社顧問。株式会社ニチオン顧問。京大法学部卒。1957 年住友銀行入行。本店支配人などを経て、同行退職後、山之内製薬株式会社役員、銀泉株式会社役員など歴任。05年6 月中小企業庁「中小企業BCP 策定運用指針」作成プロジェクトの有識者会議メンバー。
2011/09/25
企業を揺るがした危機の真相
眞崎 達二朗
眞崎リスクマネジメント研究所代表、GRC ジャパン株式会社顧問。コンサルビューション株式会社顧問。株式会社ニチオン顧問。京大法学部卒。1957 年住友銀行入行。本店支配人などを経て、同行退職後、山之内製薬株式会社役員、銀泉株式会社役員など歴任。05年6 月中小企業庁「中小企業BCP 策定運用指針」作成プロジェクトの有識者会議メンバー。
今年3月11日に発生した東日本大再震災後の東京 電力の状況について、私はキャッシュフロー・リスクの視点から分析しておりますが、その過程で考えさせられることが多々あります。
1.業績
平成19年7月16日に発生した新潟県中越沖地震では、柏崎刈羽原子力発電所の被災にともなう災害特別損失を計上し、平成19年度・平成20年度は、いずれも当期純損失となりました。特に燃料費の高騰により平成20年度は経常純損失を計上しています。 平成21年度は原油価格の下落による燃料費の減少を主因に、営業利益・経常利益ともに前期より著しく改善した上、柏崎刈羽原子力発電所の災害特別損 失が無くなったので、 純損益が黒字に転換しました。
平成22年度は、営業利益・経常利益ともに前期よ りさらに改善していたのですが、3月11日の東日本 大震災による資産の復旧費用・損失等の特別損失を 計上したため、大幅な純損失を計上しました。
23年度第1四半期の損益は、営業利益・経常利益段階ともに大幅な悪化をみています。売上は前年同期比885億2200万円減少し、一方、経費は燃料費の増加を主因に264億700万円増加したので、営業損 失は520億4700万円となりました。さらに災害特別 損失・原子力損害賠償費の計上により、実に5717億 5900万円の純損失を計上しました。恐るべき損益状況の悪化です。
2.株価
株価は乱高下していますが、大幅に下落しています。
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