2018/12/18
海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!
また何らかの緊急事態が発生した場合、発生した事象に応じて複数の部門や専門家などの協働が必要となるため、緊急事態対応に必要な情報や資源管理を集中させる体制を取られることがある。そのような体制の名称は個々の組織によって様々であるが、本報告書では便宜上これらを「統合センター(fusion centre)」と総称している。図2はそのような統合センターの設置状況を尋ねたものである。回答者の30%が既に統合センターを設置済みであり、8%が今後12カ月以内に、6%が今後12〜24カ月の間に準備する予定であると回答している。
なお図は省略させていただくが、このような他の分野の担当部門や専門家との協働を推進するために行われている施策としては、計画の統合(75%)、緊急事態対応後のふり返り(post-incident briefing)の実施(68%)、リスクや脅威のアセスメント結果の共有(65%)、合同演習(60%)などが挙げられている(複数回答)。現在BCMに携わっておられる方々が本報告書をお読みになり、海外の BCM関係者の多くが実践していることや今後のトレンドを掴んでいただくと、BCMの活動をより深化させたり活動の幅を広げるヒントが得られるのではないかと思う。
■報告書本文の入手先(PDF32ページ/約2.4MB)
https://www.thebci.org/news/first-bci-continuity-and-resilience-report-2018.html
注1)BCIとは The Business Continuity Institute の略で、BCMの普及啓発を推進している国際的な非営利団体。1994年に設立され、英国を本拠地として、世界100カ国以上に8000名以上の会員を擁する。http://www.thebci.org/
注2)全回答者853人のうち欧州からの回答が43%を占める。次いで22%が北米、11%がアジアからの回答となっている。回答者が所属する組織の業種は多い順に金融・保険(27%)、弁護士やコンサルタントなどの専門的サービス(16%)、IT・通信(11%)となっており、製造業からの回答は5% しかない。なお回答者の主な役割は事業継続(52%)、リスクマネジメント(12%)、IT災害復旧/ITサービス継続(6%)、危機管理(3%)などとなっている。
注3) 本報告書において「organizational functions」(組織の機能)と表記されているが、本稿ではこれを便宜上「部門」または「担当部門」と表記している。
注4) 前述(注2)のとおり回答者の半数がBCM関係者であることも影響しているであろう。
(了)
- keyword
- 世界のレジリエンス調査研究ナナメ読み
- レジリエンス
海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!の他の記事
おすすめ記事
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/28
-
-
-
-
-
月刊BCPリーダーズ2025年上半期事例集【永久保存版】
リスク対策.comは「月刊BCPリーダーズダイジェスト2025年上半期事例集」を発行しました。防災・BCP、リスクマネジメントに取り組む12社の事例を紹介しています。危機管理の実践イメージをつかむため、また昨今のリスク対策の動向をつかむための情報源としてお役立てください。
2025/10/24
-
-
「防災といえば応用地質」。リスクを可視化し災害に強い社会に貢献
地盤調査最大手の応用地質は、創業以来のミッションに位置付けてきた自然災害の軽減に向けてビジネス領域を拡大。保有するデータと専門知見にデジタル技術を組み合わせ、災害リスクを可視化して防災・BCPのあらゆる領域・フェーズをサポートします。天野洋文社長に今後の事業戦略を聞きました。
2025/10/20








※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方