第62回:BCM担当部門に求められる他部門との協働
BCI / Continuity and Resilience Report 2018
合同会社 Office SRC/
代表
田代 邦幸
田代 邦幸
自動車メーカー、半導体製造装置メーカー勤務を経て、2005年より(株)インターリスク総研、(株)サイエンスクラフト、ミネルヴァベリタス(株)にて事業継続マネジメント(BCM)や災害対策などに関するコンサルティングに従事した後、独立して2020年に合同会社Office SRCを設立。引き続き同分野のコンサルティングに従事する傍ら、The Business Continuity Institute(BCI)日本支部事務局としての活動などを通して、BCMの普及啓発にも積極的に取り組んでいる。国際危機管理学会(TIEMS)日本支部理事。一般社団法人レジリエンス協会幹事(組織レジリエンス研究会座長)。環境経営学会幹事(企業の気候変動に対する「適応」研究委員会メンバー)。政府会計学会会員(社会リスク研究部会メンバー)。
田代 邦幸 の記事をもっとみる >
X閉じる
この機能はリスク対策.PRO限定です。
- クリップ記事やフォロー連載は、マイページでチェック!
- あなただけのマイページが作れます。
また何らかの緊急事態が発生した場合、発生した事象に応じて複数の部門や専門家などの協働が必要となるため、緊急事態対応に必要な情報や資源管理を集中させる体制を取られることがある。そのような体制の名称は個々の組織によって様々であるが、本報告書では便宜上これらを「統合センター(fusion centre)」と総称している。図2はそのような統合センターの設置状況を尋ねたものである。回答者の30%が既に統合センターを設置済みであり、8%が今後12カ月以内に、6%が今後12〜24カ月の間に準備する予定であると回答している。
なお図は省略させていただくが、このような他の分野の担当部門や専門家との協働を推進するために行われている施策としては、計画の統合(75%)、緊急事態対応後のふり返り(post-incident briefing)の実施(68%)、リスクや脅威のアセスメント結果の共有(65%)、合同演習(60%)などが挙げられている(複数回答)。現在BCMに携わっておられる方々が本報告書をお読みになり、海外の BCM関係者の多くが実践していることや今後のトレンドを掴んでいただくと、BCMの活動をより深化させたり活動の幅を広げるヒントが得られるのではないかと思う。
■報告書本文の入手先(PDF32ページ/約2.4MB)
https://www.thebci.org/news/first-bci-continuity-and-resilience-report-2018.html
注1)BCIとは The Business Continuity Institute の略で、BCMの普及啓発を推進している国際的な非営利団体。1994年に設立され、英国を本拠地として、世界100カ国以上に8000名以上の会員を擁する。http://www.thebci.org/
注2)全回答者853人のうち欧州からの回答が43%を占める。次いで22%が北米、11%がアジアからの回答となっている。回答者が所属する組織の業種は多い順に金融・保険(27%)、弁護士やコンサルタントなどの専門的サービス(16%)、IT・通信(11%)となっており、製造業からの回答は5% しかない。なお回答者の主な役割は事業継続(52%)、リスクマネジメント(12%)、IT災害復旧/ITサービス継続(6%)、危機管理(3%)などとなっている。
注3) 本報告書において「organizational functions」(組織の機能)と表記されているが、本稿ではこれを便宜上「部門」または「担当部門」と表記している。
注4) 前述(注2)のとおり回答者の半数がBCM関係者であることも影響しているであろう。
(了)