京阪神エリアの大動脈である東海道線などを運行するJR西日本は、「計画運休」のパイオニアでもある

最初の実施は2014年

7月2日、国土交通省は大型の台風等の接近・上陸する場合などにおける鉄道の「計画運休」のあり方について最終とりまとめを行った。台風や大雨が見込まれる際に、鉄道事業者が事前に予告したうえで運休を行う「計画運休」について、必要であることを明記。事業者があらかじめタイムラインを策定すること、その内容に従って利用者や沿線自治体への情報提供などを行うことが盛り込まれた。この「計画運休」をいち早く実施したのがJR西日本。同社の取り組みを取材した。

JR西日本が最初に「計画運休」を行ったのは2014年10月13日の台風19号。この年の8月に台風11号が来た際、多くの路線で規制値に達し全面運休を実施。多客期も重なって、利用者に対し大変な迷惑をかけてしまったという反省があったという。そこで台風19号の際は「駅間停車やダイヤ乱れによる混乱は絶対に回避すべき。また、全面的に運休することで運転再開もスムーズになる。早めに利用者にアナウンスして全面運休することにした」と振り返るのは同社の鉄道本部安全推進部企画室担当室長の中條昭氏。19号の際は台風が関西に最接近する前日の12日に、翌日の同エリアでの運休について発表。13日には午後2時ごろから順次本数を減らし、午後4時から終電の時間まで運休を実施した。

しかし、競合である私鉄各社が運行している中での初めての試みであったことに加えて、台風の影響が予想以上に軽微に留まったこともあり、利用者からは批判の声もあった。とはいえ、「事前に運休が分かることで、外出を控えるなど計画的に安全な行動をとることもできる」というポジティブな意見も一部マスコミからあがるようになる。JR西日本ではこの時の結果を分析し、利用者の安全確保や混乱回避、さらにはスムーズな運行再開につながると判断し、大雨や台風の際は気象情報などの条件によっては「計画運休」を行う方針を固めた。