一連の爆発の被害を受けた教会のうちの1つであるコロンボ・聖アントニオ教会近く(c2019 International SOS and Control Risks)

鳴りを潜めていた組織的テロ

海外に進出する日本企業に対し医療や渡航安全管理対策といった支援を行っているインターナショナルSOSは5月13日に「スリランカテロ事件と『イスラム国』」と題したレポートをまとめた。4月21日にスリランカで起きたテロに関するもので、あまり知られていない過激派組織をイスラム国(IS)が支援し、テロを行わせるという新たな手法がとられていることを指摘している。

事件の内容は4月21日、スリランカのコロンボ、ネゴンボ、バチカロアの4つのホテルと3つの教会で自爆テロが発生。250人以上が死亡、約500人が負傷した。この事件の実行犯は同国のイスラム過激派組織である「ナショナル・タウヒード・ジャマア(NTJ)」とスリランカ当局はみていた。しかしISが事件の2日後に犯行声明を出した。ISの犯行声明の動画にNTJのメンバーが映っており、両者の関係が明らかになった。

NTJは150~200人程度のメンバーがいるとされているが、仏像の破壊などが活動の中心で、大規模なテロ活動は見られなかった。「今回、スリランカテロに当社が注目したのは、ISがこれまでと違う動きをしていたため」と語るのはインターナショナルSOSのリージョナルセキュリティマネジャーの黒木康正氏。これまでのISの活動は2015年11月にレストランやコンサート会場、サッカースタジアムなどが標的となったフランス・パリの同時多発テロや、空港などが襲撃された2016年3月のベルギー・ブリュッセルのテロなど組織的かつ大規模なものが続いた。ISの影響を受けた過激派組織が欧州や中東にあり、犯行を大規模に行える状況が続いていた。しかし、この種のISのテロは2017年5月の英国・マンチェスターでのテロが最後となっている。

聖アントニオ教会近くで警戒にあたるスリランカ当局(c2019 International SOS and Control Risks)

「ISはシリアとイラクの活動拠点をほぼ喪失し、欧州の治安部隊の締めつけも厳しいことが背景にある」と黒木氏は分析。欧州でのイスラム過激派のテロは「ローンウルフ型」と呼ばれる1人でも実行できる小規模なものにシフトしていた。

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