SEMA事務局はヤフーが務めている。左が災害・基金チームリーダーの安田氏

配送や受け取りにも配慮

2017年、ヤフーが事務局となり災害時にワンストップで支援物資を避難所などに提供する緊急災害対応アライアンス「SEMA(シーマ)」が設立された。その後、台風や豪雨、地震と災害が相次ぐ中で、共助として「必要な物資を、必要な人に、必要な分だけ届ける」というSEMAの活動にスポットを当てた。

発足時のSEMAは企業17社とNPO法人など市民団体6団体が加盟していた。現在も市民団体は変わらないが、企業は52社にまで拡大。オリジナルメンバー企業の競合他社も加盟している。全国規模のメーカーなどにとどまらず、「地方を中心に物流をサポートできる企業が増え、小回りが利くようになった」とヤフーSR推進統括本部CSR推進室で災害・基金チームのリーダーを務める安田健志氏は現状を説明する。

■現在の加盟企業・団体はこちら
https://sema.yahoo.co.jp/member/

「必要な物資を、必要な時だけ、必要な場所に届ける」というポリシーから、被災地のニーズを聞くことを重視。先遣隊として加盟している市民団体のスタッフが自治体や避難所を回り聞き込みを行い、足りないものを必要な避難所に送るようにする。被災地で聞いた要望は、電話やメッセンジャーアプリを使い、SEMAの事務局に連絡。加盟企業に必要な支援を仰ぎ、さらに数量などの調整を事務局で行った後に発送を行う。プッシュ型ではなくプル型に徹している。

避難所に公的な支援が行き届かない場合の食料や水の支援も考えられるが、そういったものが届いていたとしても、例えばゼリーや衛生用品、さらにはウレタンマットといった、避難生活の質の向上につながる支援を行う場合もある。また、大手の物流企業が動けない場合は、ハート引越センターや各地のローカル企業などSEMA加盟企業で運輸をこなせる企業が運搬にもあたる。現地では市民団体が被災地の受援強化として物資の受け取りなども手伝っている。