毎月行っている避難訓練では、布土小学校に避難しているが、住民には高台に避難してもらうように呼びかけている。実際に歩いてみて、屋根瓦が落ちそう、ブロック塀が崩れそうなど、初めて気づくことがたくさんあった。軽自動車も通れないような狭い道は、交通事故の心配がない点では通学路に向いているが、地震のときには逃げ場を失うというリスクもある。

布土学区では、阪神・淡路大震災以前は、台風を想定した訓練が主だったが、東日本大震災以降の2012年から、津波からの避難訓練も毎月行うようになった。2012年の最初の参加者は約350 人だったが、2014 年10 月に実施した防災訓練では300 人程度と減少。さらに、2015 年の2月7日に実施した炊き出し訓練には160名程度の参加になったが、布土公民館では、毎日老人会を初めいろいろな地区のグループが何らかの集会をしている。この活発なグループ活動を進めている人たちは区の財産である。

町役場は最新のハザードマップを作成した。区長と総代は、これらほとんどの団体にかかわっている。これらを基本に、防災活動を進めている。その中心は、にぎやかな布土公民館の集いの広場であり、防災活動を行っている。

災害時は自助・共助が大切であるが、それを支えるのは平時からの地域づくりである。防災訓練における、「またか」や「面倒くさい」といった意識をなくし、防災・減災活動に関心を持ってもらい、参加してもらうことが課題であると思う。

これから作成される地区防災計画の課題は3つある。1つは、子どもたちをターゲットにすること。子どもが参加すれば、親の関心を高めることもできる。2つ目は、みんなが参加したくなる防災訓練・活動の展開。3つ目は、災害時に命を守るために何をすべきかを意識できる体験型防災訓練。この3つの課題を踏まえ、具体的にはどうするかということを考えている。

防災計画の作成に向けて、まずは、楽しい防災訓練を企画していきたい。例えば、炊き出し訓練で料理コンテストを実施したり、美味しい料理を提供する。住民が興味を持てる他の行事と一緒に実施することも大事だ。

次に、現実味のある防災訓練を実施するということ。津波の場合は、まず高台に逃げる。災害時要援護者(施設利用者)などへの支援の在り方を考える訓練も大切。さらに、発災時や避難時に必要な備蓄品を活用する担架を使った避難や消火・炊き出しなど体験型訓練、通常の避難ルートが火災などで通行不能になった場合などを随所で取り入れた避難訓練を考えていきたい。

最後は、小学校の防災訓練に地域の力を巻き込む仕組みをつくるということ。学校の中だけの防災訓練でなく、地域ぐるみの防災訓練へしていくことが重要だ。