2015/07/10
C+Bousai vol3
地区防災計画モデル地区フォーラム
毎月行っている避難訓練では、布土小学校に避難しているが、住民には高台に避難してもらうように呼びかけている。実際に歩いてみて、屋根瓦が落ちそう、ブロック塀が崩れそうなど、初めて気づくことがたくさんあった。軽自動車も通れないような狭い道は、交通事故の心配がない点では通学路に向いているが、地震のときには逃げ場を失うというリスクもある。
布土学区では、阪神・淡路大震災以前は、台風を想定した訓練が主だったが、東日本大震災以降の2012年から、津波からの避難訓練も毎月行うようになった。2012年の最初の参加者は約350 人だったが、2014 年10 月に実施した防災訓練では300 人程度と減少。さらに、2015 年の2月7日に実施した炊き出し訓練には160名程度の参加になったが、布土公民館では、毎日老人会を初めいろいろな地区のグループが何らかの集会をしている。この活発なグループ活動を進めている人たちは区の財産である。
町役場は最新のハザードマップを作成した。区長と総代は、これらほとんどの団体にかかわっている。これらを基本に、防災活動を進めている。その中心は、にぎやかな布土公民館の集いの広場であり、防災活動を行っている。
災害時は自助・共助が大切であるが、それを支えるのは平時からの地域づくりである。防災訓練における、「またか」や「面倒くさい」といった意識をなくし、防災・減災活動に関心を持ってもらい、参加してもらうことが課題であると思う。
これから作成される地区防災計画の課題は3つある。1つは、子どもたちをターゲットにすること。子どもが参加すれば、親の関心を高めることもできる。2つ目は、みんなが参加したくなる防災訓練・活動の展開。3つ目は、災害時に命を守るために何をすべきかを意識できる体験型防災訓練。この3つの課題を踏まえ、具体的にはどうするかということを考えている。
防災計画の作成に向けて、まずは、楽しい防災訓練を企画していきたい。例えば、炊き出し訓練で料理コンテストを実施したり、美味しい料理を提供する。住民が興味を持てる他の行事と一緒に実施することも大事だ。
次に、現実味のある防災訓練を実施するということ。津波の場合は、まず高台に逃げる。災害時要援護者(施設利用者)などへの支援の在り方を考える訓練も大切。さらに、発災時や避難時に必要な備蓄品を活用する担架を使った避難や消火・炊き出しなど体験型訓練、通常の避難ルートが火災などで通行不能になった場合などを随所で取り入れた避難訓練を考えていきたい。
最後は、小学校の防災訓練に地域の力を巻き込む仕組みをつくるということ。学校の中だけの防災訓練でなく、地域ぐるみの防災訓練へしていくことが重要だ。
C+Bousai vol3の他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方