2019/10/31
アマゾンの強さの秘密は「安全」にあり
お客様の安全を守るプロダクトコンプライアンス
フィジカルな現場の安全を守るだけでなく、お客様の安全を守ることも非常に大切な業務となります。アマゾンは非常に幅広い商品群を有するサイトです。アマゾンが直接仕入れて販売するものは当然ですが、多種多様な販売者たちが取引をするアマゾンでは、お客様の安全を第一に考えています。当然リコールがかかったり、さまざまな規制対象になったものは素早くサイトから削除するなどの対策は日頃から行われていますが、それ以外にも、コピー品や規制品目がサイト上で売買されないように事前のチェック体制の確立も欠かせません。そういった商品に係る様々な対応をしているのがプロダクトコンプライアンスチームです。こちらの組織は基本は、本社に担当マネージャーを含め数人の担当者が存在するだけですが、実際のFCでのさまざまな施策の実施は、安全・保安担当がその責務を負う形となります。倉庫内の可燃物品の容量確認や医薬品などの規制対象商品に関してなど、安全担当が対応をすることも非常に多く存在します。お客様の安全を確保するための業務は終わりがありません。
社員に徹底させるラーニングチーム
さまざまな施策やルールづくりをするだけでなく、それを現場に落とし込むことが非常に大切になることは言うまでもありません。そこで活躍するのがラーニングチーム、教育部門です。このチームは倉庫内で必要なさまざまなルールや行動規範などを現場に落とし込むための専門部隊で、実際にトレーニングを施すだけでなく、トレーニング資料から実際のトレーニングの仕方、また効果的な指導の方法などを立案する舞台でもあります。その中で特に気を使っていることが標準作業とマーケティングです。標準作業は皆さんもご理解いただけると思うのですが、なぜマーケティング?と思われるでしょう。実はこのマーケティングが非常に重要で、いかに多くの社員にメッセージを届けるのかということを重視しています。表示の統一や構内で色が持つ意味(緑の線は歩行帯など)、またメッセージの出し方やタイミングなども非常に重要です。クリスマス繁忙期、新人社員のあふれるアマゾンFC内は、トイレも含めさまざまな場所で安全に関する表示が増えてきます。ただ貼ればいいわけではない、効果的に配置し、頭の中に刷り込むためにはどうすればいいのか、そういったことを考えている部隊がラーニングチームです。
このように、アマゾンが大切にする仕組みを支えるには組織のあり方が非常に重要であるということがお分かりいただけたでしょうか? もちろん全ての会社でこのようなリッチな組織を作ることは難しいと思います。ただ複数の業務の掛け持ちで確立できるほど安全は優しいものではないとご理解いただけるのではないかと思います。是非、安全の責任者を置くことから始めてみてはいかがでしょうか。
(了)
アマゾンの強さの秘密は「安全」にありの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/09/02
-
-
-
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
-
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
-
-
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方