写真を拡大 システム構成例

株式会社明電舎(本社:東京都品川区)は8日、国内初の、IoTを活用したリアルタイムに変圧器の余寿命を把握できるシステム「変圧器オンライン余寿命診断システム」の開発を完了したと発表した。⽼朽化が進むインフラを常に監視することで、停電など大規模な障害を未然に防ぐことができるもの。販売開始は2017年4月を予定している。油入変圧器が対象だが、乾式変圧器にも適用できるシステムを2018年度に開発を完了する予定だ。

油入変圧器に各種センサーを取り付け、取得したデータをクラウド上に蓄積し、遠隔で監視と診断をオンラインで⾏う。蓄積されたデータから演算式(アルゴリズム)により判定。既存設備にも容易に導入でき、これまで⾏ってきた⽇常巡視点検を効率化する。定期点検時に1カ月ほどかけて⾏っていた変圧器の油分析を、リアルタイムに実施することができる。

写真を拡大 タブレット/PC 表⽰例

監視・計測できるのは、「油面数値」「油温・外気温」「油中ガス・水分分析」「LTC(ロードタップチェンジャー)」「部分放電」「負荷電流」。

油面はアナログメーターをカメラで撮影し、針の位置を画像処理でデジタル化、数値データとして取得する。

油温・外気温は、変圧器に注入されている油の温度や外気温を常に計測し、異常をリアルタイムに検知できる。

油中ガス・水分分析は、変圧器中の銅線に巻かれた絶縁紙の劣化により油に溶けた特定の化学物質を、油中のセンサーで計測し、絶縁紙の劣化の兆候を把握する。落雷や部分放電などにより⽣じたガス成分を計測することで、油の劣化を把握できる。

LTC(ロードタップチェンジャー)は、タップの切り替え回数を把握することで、摩耗を予測。経年劣化による絶縁不良で発⽣する部分放電を常時監視し、負荷電流を計測することで、⽣涯使用量を把握する。

(了)