2019/12/25
ニュープロダクツ

ドイツのIT企業の日本法人であるSAPジャパンは、災害対策におけるデジタル活用に注力している。国や地方自治体、企業などが持つ情報を連携させ、防災に生かす方策を、大分大学や企業と協力し取り組んでいる。
SAPジャパンでプロジェクトを手がけるデジタルエコシステム統括本部 ビジネスイノベーション推進部 イノベーション・スペシャリストの吉田彰氏は大分大学減災・復興デザイン教育研究センター客員研究員の肩書も持つ。大分大学の同センターは2018年に起こり、6人が死亡した大分県中津市の耶馬渓(やばけい)土砂災害の際にはドローンを使った三次元解析などを行い、地元自治体をサポートした。
SAPジャパンでは、河川や気象などの情報を持つ国、人口や公共工事の他災害履歴といった情報を持つ自治体、民間企業の情報共有を呼びかけ。AI(人工知能)やドローン、衛星など最新の技術も活用し、SAPのデータプラットフォーム「SAP HANA」により連携し、有効な防災対策に生かすことを目指している。テクノロジーについてはレノボやインテル、グーグルの他、大分大学や大分に本社のあるIT企業のザイナスも協力している。今後、インフラなどさらなる民間企業や国、自治体への協力も呼びかける方針。
24日に東京都渋谷区のTECH PLAY SHIBUYAで行われたフォーラムで吉田氏は「阪神・淡路大震災でGIS(地理情報システム)の有用性が確認されたが、東日本大震災でもあまり活用されずに終わった」と説明。通信高速化の他クラウドやモバイルの活用も進み、情報活用の環境が整い、災害対策の取り組みを今後も推進する方針を示した。

また同フォーラムではPwCコンサルティング合同会社のマネージャーである山田洋平氏も講演。衛星データの活用について講演。欧州での取り組みを踏まえ、衛星の性能向上や増加の他、データストレージの整備によりデータが安価で利用しやすくなっている現状を説明。「いろいろな企業と連携し、データを組み合わせ活用することが災害対策にもつながる」と説明した。
(了)
防災・危機管理関連の新製品ニュースリリースは以下のメールアドレスにお送りください。risk-t@shinkenpress.co.jp
リスク対策.com:斯波 祐介
ニュープロダクツの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/26
-
-
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
-
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
-
-
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方