2017/02/06
防災・危機管理ニュース
世帯間・地域間の連携を促進させるツール
秩父市久那地区の地区防災計画素案は、防災の基本方針に加え、①平時から進めておくべきこと、②避難準備・高齢者等避難開始が出された際の行動、③避難勧告・避難指示(緊急)が出された際の行動について、住民、町内会の役割が明記されている。
山本氏は「大人と子ども、あるいは高齢者など幅広い年齢層が一緒に地図をつくったり、隣接する違う集落の人たちと一緒に作業を行うことで、さまざまな立場で災害対策を考えられるようになり、新たな気づきを得ることができる。逃げ地図づくりは、津波だけでなく多様な災害に対して、世帯間、地域間の連携を促進させるためのツールになる」と語る。
阪神・淡路大震災より以前から、東京世田谷区などで住民参加の防災ワークショップ活動を展開してきた千葉大学大学院教授の木下氏は「地図を作ることが目的ではない。街づくり活動は一旦話し合って合意形成ができるようなものではなく、住民が主体的に参加し絶えず見直していく必要。そのためには、住民のさまざまな立場・視点からの検証作業が必要で、逃げ地図づくりは、こうしたPDCAサイクルの有効な方法である」と話している。
従来、防災計画としては国レベルの総合的かつ長期的な計画である防災基本計画と、地方レベルの都道府県及び市町村が定める地域防災計画があり、それぞれのレベルで防災活動を実施してきた。しかし、東日本大震災において、自助、共助及び公助があわさって初めて大規模広域災害後の災害対策がうまく働くことが強く認識され、その教訓を踏まえて、平成25年の災害対策基本法では、地域コミュニティにおける共助による防災活動の推進の観点から、市町村内の一定の地区の居住者及び事業者(地区居住者等)が行う自発的な防災活動に関する「地区防災計画制度」が新たに創設された(平成26年4月1日施行)
(了)
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