【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)が2会合連続で0.25%の利下げを決めたのは、雇用情勢の鈍化へ対処するためだ。一方、人工知能(AI)ブームで株式市場は活況を呈し、個人消費も底堅い。景気が過熱すれば、2%の目標を上回るインフレを加速させかねず、金融政策運営は微妙なかじ取りを迫られている。
 今月1日から続く米政府機関の一部閉鎖が過去2番目の長さに及ぶ中、9月の雇用統計は発表されていない。しかし、有力な代替とされる民間企業の統計では、同月の非農業部門就業者数は2カ月連続で減少を記録。労働市場の勢い失速がうかがえる。
 一方で、AI関連の投資は旺盛だ。ニューヨーク株式相場は、優良株で構成するダウ工業株30種平均が過去最高値を連日のように更新。株高による資産効果もあり、個人消費は堅調さを保つ。
 雇用が鈍化する一方で、経済成長は想定よりも強く、米経済の先行きは読みにくい局面にある。トランプ政権の高関税政策の影響もあって、インフレ率が目標の2%を当面上回って推移する中、FRB内では「利下げ余地は限られている」(高官)との声が根強い。政府閉鎖で重要な指標も入手できない中、慎重な政策運営が求められている。 

(ニュース提供元:時事通信社)