2020/02/21
危機発生時における広報の鉄則
記者会見はどこでやる?
次の問題は、どこで記者会見を行うかです。テクニカルな問題ですが、私が最も悩んだ事例をご紹介します。
社員100人規模の会社で元社員がハラスメントを受けたとして、厚生労働省記者クラブで記者会見をした時のことです。すでに法廷に持ち込まれていました。元社員は司法記者クラブでも記者に書類を配布している状態でしたので、会社からすると、記者会見の場所の選択肢としては、司法記者クラブ、厚労省記者クラブ、会社がありました。
難しい判断でしたが、最終的には厚労省記者クラブにしました。厚労省記者クラブは最初に先方が会見をした場所なので、後発の会見は不利だと感じましたが、あえてぶつけてみようと考えました。
社員対会社であれば、会社の方が絶対的に不利です。しかしながら、会社が中小企業であったこと、詳しくは書けませんが特殊な状況であったことから、説明をすればやみくもに会社が悪いといった報道にはならないだろう、理解は得られるだろうと考えました。もちろん、絶対に言わないことを決めて何度も訓練し、社長もこれでいけると納得した上のことです。結果として、報道はほとんどされませんでした。

2020年4月からハラスメント対策が事業主の義務となります。中小企業は同時期に努力義務となり、その後2年以内に義務化されます。ハラスメントは、社会的にさらにクローズアップされていくでしょう。
通常の研修は動画を見せながら「これはパワハラ」「これはセクハラ」と学ぶわけですが、受け止め方が年代によって変わる微妙なリスクでもあり、完全予防にはハードルが高いといえます。相手があることですので、発生時のダメージコントロールに絶対的な正解はありませんが、最悪を想定してシミュレーションをしておく必要があるでしょう。
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