(小林製薬ホームページに掲載されているお詫び/5月20日時点)

危機発生時に求められる初動力とはいかなるものでしょうか。小林製薬の紅麹菌問題への対応から危機管理広報の機能について考えます。

5W1Hがないプレスリリース

この問題に関する同社の第1報は、3月22日のプレスリリース「紅麹関連製品の使用中止のお願いと自主回収のお知らせ」になります。危機管理広報の基本が全く抑えられていません。

小林製薬株式会社(本社:大阪市、社長:小林章浩)が販売しております機能性表示食品「紅麹コレステヘルプ」を摂取された方において、腎疾患等が発生したとの報告を受けました。
これを受け、本製品及びそれに使用している紅麹原料(自社製造)の成分分析を行った結果、一部の紅麹原料に当社の意図しない成分が含まれている可能性が判明しました。

現時点でこの成分の特定や本製品の腎疾患等との関連性の有無の確定には至っておりませんが、お客様の健康被害が拡大することを防ぐための予防的措置として、下記【対象製品】記載の紅麹関連製品を自主回収することといたしました。

お客様をはじめ関係各位には、多大なるご迷惑をおかけしますことを深くお詫び申し上げます。本件については重大な事案と受け止めており、引き続き、調査を継続してまいります。(小林製薬 第1報 3月22日)

このプレスリリースがまずいのは、いつ、どこから腎疾患の報告を受けたのかがさっぱりわからないことです。意図しない成分が含まれる可能性が判明したのはいつなのか、いつ自主回収を決定したのかも日付がありません。これでは説明になっていないどころか、不安を募らせるばかりです。

危機発生時には説明文書として5W1Hで時系列に整理して発表する危機管理広報の基本の「キ」が完全に抜け落ちており、企業として危機の想定訓練が全くなされていないことがここで露呈しています。

第2報は3月25日、電話がつながりにくいことへのお詫び、入院症例数、企業向け製品についての報告で現状説明のみ。やはり時系列がありません。第3報は3月26日、「当社におきまして、腎疾患でお亡くなりになった方が、生前に紅麹コレステヘルプをお使いになられていたとのご連絡をご遺族様からいただき、製品と死亡との因果関係が疑われる事象を1件把握いたしました」と、ここでも、いつ把握したのか、その方がいつ亡くなったのかも不明。

第4報は3月27日、「昨日(3月26日)、ご遺族の方からお亡くなりになった方が生前に紅麹コレステヘルプをお使いになられていたとのご連絡をいただきました」、とようやく日付が明記されました。第5報(3月28日)で2名、第6報(3月29日)で1名と明記されましたが、死亡者の総数がわかりません。合計するとこの時点で4名死亡なのだろうと推測は可能ですが、3月29日の記者会見では5名となっていました。

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