健康的な在宅勤務に必要なこと

それらに加えて、図2に示されているように通常の勤務時間外の電話やメールにも対応するという回答が73%、通勤しないことによって仕事に費やす時間が増えたという回答が12%ある。このような調査結果を踏まえて、ブログでは勤務時間や休憩を厳格に決め、仕事の時間とそれ以外とを区別し続けることが、健康的な在宅勤務のために必要であると強調されている。

日本と英国とでは、パンデミック前の働き方も同じとは限らないので単純比較はできないが、在宅勤務によって仕事の時間が長くなりやすいという側面があることは、日本人としても認識しておくべきであろう。

写真を拡大 図2. 在宅勤務によるさまざまな影響(出典:Moneypenny / Over half of Brits are happy to work from home for as long as is needed)

図2の下の方に書かれているのは、在宅勤務による会話の減少の状況である。回答者の72%が、仕事において誰とも会話がなかった日があり、45%は1日以上誰とも話さなかったことがあったと回答している。このような会話の減少も心理的ストレスを増やす要因になるかもしれない。

図には表されていないが、これ以外にも健康的な在宅勤務を実現する方法について調査されており、在宅勤務中において行っていることについて尋ねた結果が次のようにまとめられている。

- 運動をする:55%
- 仕事の生産性を維持するために、異なるアプローチを試す:33%
- 友人や家族との間でオンラインでのグループチャットを自ら行ったり参加したりする:32%
- DIY:26%
- 仕事に行くときと同じように、ちゃんとした服を着る:19%
- 昼休みや休憩時間に昼寝をする:18%
- 瞑想する:15%

これらは恐らく個々人が自ら考えて実践しているのだと思われるが、従業員の心身を健康に保つために、企業からも従業員に対してアドバイスや情報提供が行われるのが望ましいであろう。

ブログによると、回答者の52%が在宅勤務を続けたいと答えている反面、苦痛に感じ始めているという回答も37%、既に苦労しているという回答も6%あるという。この調査が行われた英国では、日本よりも厳しい外出制限が続いている。それでも回答者の約半分が自分なりの快適な在宅勤務の方法を見つけ、環境変化に適応できている。パンデミックが終息して外出制限が解除された後も仕事の仕方は完全に元には戻らず、在宅勤務を含めた新しい勤務形態がある程度定着する可能があるのではないだろうか。

日本においても感染拡大を防ぐために、いわゆる「3密」を避けるなどの「行動変容」が求められているが、もしかしたら現在のパンデミック対応が、昨今の「働き方改革」の流れとも相まって、日本の仕事のしかたが変容していく契機となるかもしれない。そのようなことに思いを巡らせた調査結果であった。


■報告書本文の入手先(ウェブページ)
https://www.moneypenny.com/uk/resources/blog/new-study-over-half-of-brits-are-happy-to-work-from-home-for-as-long-as-is-needed/