2013/09/25
誌面情報 vol39
災害対策のソフト対策も強化・充実
震度5強以上で災害対策本部設置 同社の災害対策で最も目を見張ったのが、災害時のソフト対策である。独自に設置した地震計に基づき、震度5強以上の地震が三井オフィスのいずれかで観測された場合、災害対策統括本部が自動的に設置される仕組みになっている。
構成員は総勢200人。上から司令部、統括部があり、その傘下にテナント・オーナー対応班、災害復旧班、情報収集班、外部情報収集班、支援対応班、本部緊急対応班の6班があり、司令部と統括部の間に組織支援部がある。200人はそれぞれ日常業務に近い役割を担う人員配置になっているという。平時から課長級以上の職員が、ビルメンテナンス会社のスタッフと毎日24時間体制で待機しており、東日本大震災の際も機能したという。
情報設備が充実した危機管理センター
この災害対策組織は、先進の情報設備を備えた危機管理センターを司令塔に機能する。各センターには、72時間対応の非常用発電をはじめ、テレビ会議システム(最大12カ所同時会議可)複数の通話手段、(衛星携帯電話、専用線、電話)ノーパンクIP、自転車、ビルの各所に配置した監視映像が確認できるモニターを完備。被災現場を目の当たりにしながら、意思の疎通がスムーズに行える。
帰宅困難者対応を強化
防災備蓄、情報発信、一般
帰宅困難者対策にも力を入れている。取り組み内容は、防災備蓄、情報配信の強化と一般帰宅困難者の受け入れ―の3つ。
防災備蓄は、在館人口相当数の1日分の水と食糧を確保。簡易トイレや医薬品、救護機材などの備蓄も拡充する。高層ビルのエレベーターには、防災備蓄キャビネット(簡易トイレ、非常食、携帯ラジオ)も設置している。
情報配信では、ビルの被災状況や公共交通機関の復旧状況、ビル設備の使用可否に加え、危機管理センターが集めた各地域の情報もテナント企業に提供する。同様の情報は、エントランスホールに設置されたテレビモニター等でも提供する。また、テナント企業限定のウェブサイトも新設、外出中の社員や家族にも会社の被災状況を提供する取り組みも行っている。
主要ビルでは、一般帰宅困難者も可能な限り受け入れる方針。新宿三井ビルディングでは、モデルプロジェクトとして、一般帰宅困難者受入マニュアルを作成した。備蓄品は、水と食糧と防寒シートなど。一般帰宅困難者に関しては、各エリアの行政と連携した対策をとることにしている。
また、テナント企業に同社の防災対策の取り組みを理解してもらい、併せて事業継続検討に資するよう、防災関連ガイドブックも発行している。内容は①三井不動産の災害時の組織体制と役割、②同社のオフィスの防災機能(耐震性能、非常用設備、備蓄品等)③災害時に備えたコミュニケー、ションと訓練。このほか、東日本大震災では、都内全体で約2割の事業所において、オフィス内のパーテーションやキャビネットなどの什器の転倒・落下移動などの被害が生じたため、当社独自の取り組みとして「オフィス什器転倒・落下防止ガイドブック」(日本語版、英語版)を作成しテナント企業に配布した。
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方