兵庫県立大学環境人間学部・大学院環境人間学研究科教授の木村玲欧氏は、「首都圏を中心としたレジリエンス総合プロジェクト(総括:国立研究開発法人 防災科学技術研究所 首都圏レジリエンス研究センター長 平田 直氏)」と連携し、主に兵庫県内企業らを対象に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係わるBCP(事業継続)に関する緊急調査」を実施した。調査期間は、緊急事態宣言が出されていた5月19日から5月末まで。COVID-19に対する企業などの対応の流れを時間軸でとらえ、現時点での感染対策や事業継続に向けた取り組みレベル、経営への影響、さらには組織に従事する個人の心的負担などについて明らかにすることが目的。その結果、首都圏を対象にした調査結果に比べ、テレワークの実施率は低く、出張・移動などについても完全に禁止している企業の割合が少ないなど、緊急事態宣言下であるのにもかかわらず、中小企業においては、なかなか対策を実施・徹底することができていない事実が明らかになった。背景としては、そもそも地震についてのBCP(事業継続計画)の策定率が低いなど、災害時の危機管理に意識や資源が向いていなかったことも一因と考えられる。


昼食についても規制

全国を対象に緊急事態宣言が発出されていた調査開始時点において、各職場での感染防止策はどの程度行われていたのか。

調査では、まず、職場での対策(出勤ならびに昼食)について、1.実施していない、2.推奨している、3.義務付けている、4.職場の出勤者はいない、の4段階のどれにあてはまるか聞いた。その結果、時差出勤の実施、出勤方法の変更、昼食の規制について、いずれも実施していないと、実施しているが均衡した(グラフ1)。

主に首都圏内の企業を対象にした調査では、昼食の規制を実施している回答は少なかったが、多くが出社をして、会社内で食事をしている様子がうかがえる。

それを裏付けるように、出勤形態については、テレワークは部分的に取り入れられはじめているものの、原則全員が感染予防を徹底し出勤という企業が25.3%、三密を避け出社も20.3%あった(グラフ2)。首都圏などを対象にした調査では両方合わせて16%だったことからテレワークの実施率が大幅に低いことが明らかになった。