2017/11/07
防災・危機管理ニュース

国土交通省は6日、「落下物防止等に係る総合対策推進会議」の第1回会合を開催した。会合には有識者のほか航空機メーカーや成田・関西・中部の空港会社、航空会社の団体も参加。関西空港や成田空港発着の航空機からの部品落下が続いたことや、2020年東京オリンピック・パラリンピックへ羽田空港の発着回数を増やすため都心上空ルート導入を計画していることから、落下物防止対策の基準策定などを進める方針。今年度末の基準案とりまとめを目指す。
9月23日、関西空港発のKLMオランダ航空機から大阪市内でパネルが脱落し、走行中の車両に衝突。同7~8日には成田空港発着の同じ全日空機から、脱出用スライドの収納箇所のパネルが2度脱落。同27日に茨城県稲敷市の工場内で最初の脱落パネルを発見した。
国交省では空港を除いた地上で部品または氷塊を発見した場合は「落下物」、到着後の点検で部品がなくなっていることを確認した場合は「部品脱落」と分類。2007~16年度まで10年間の成田空港周辺での落下物は19件。ビニールハウスや車両、屋根瓦への物損被害は5件あった。部品脱落は一定の規模以上の部品の脱落は報告義務がある。2009~16年度までの8年間での報告件数は451件。空港内で部品を発見したのは91件で、残りは空港内で発見できていない。
国交省では飛行経路の見直しにより羽田空港で年間約4万回発着回数を増加させ、約49万回とする計画。現在は海上を中心に経路を取っているが、到着時に東京・品川区や新宿区、渋谷区、港区上空などを通る新ルートを導入する。騒音以外に落下物に対する懸念の声も大きい。
今後、落下物の未然防止へ対策基準を策定するほか、補償制度の充実も図っていく方針。基準は日系だけでなく日本に乗り入れている外国航空会社に対し、部品脱落や着氷への対策について技術基準を規定することが見込まれる。国交省は総合対策推進会議の下にワーキンググループ(WG)を設置。今月中に第1回を開催し、計3回をめどにWGで専門的に議論。2018年3月に推進会議で対策基準案のとりまとめを行う予定。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2023/01/31
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月31日配信アーカイブ】
【1月31日配信で取り上げた話題】家庭での防災行動を高めるために
2023/01/31
-
-
1000人に聞いた防災の取り組みと行政への期待
リスク対策.comは、地域住民がどの程度防災に取り組んでいるのか、また防災の観点から行政に対してどのような要望を持っているのかなどを把握する目的でインターネットによるアンケート調査を実施した。その結果、2021年5月から避難勧告が廃止され避難指示に一本化されたことについては約5割しか理解していないことや、平時から国や地方自治体の防災のホームページなどがあまり活用されていない実態が明らかになった。調査は、2022年11月21日から22日にかけてインターネット上で行い、全国の20歳以上の成人男女1000人からの回答を得た。質問は、回答の質を高めるため「この質問は一番右の回答をお選びください」という条件項目を入れ、適切な回答をしなかったものを除き、計889人を有効回答として分析した。
2023/01/30
-
社内滞在時をイメージさせる実践的な訓練と備蓄
テクニカルセラミックスを開発・生産するクアーズテックは2012年、東京都の帰宅困難者対策条例を機に一斉帰宅抑制対策に乗り出しました。独自のプログラムを追加した実効性の高い訓練や被災時の心理にも配慮したきめ細かな備蓄が評価され、2021年には東京都のモデル企業に。同社の取り組みを紹介します。
2023/01/29
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月24日配信アーカイブ】
【1月24日配信で取り上げた話題】最強寒波への備え
2023/01/24
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月17日配信アーカイブ】
【1月17日配信で取り上げた話題】防災心理を学ぶゼミ生が制作した企業の防災マニュアル/コロナ発生から3年 企業の初動対応を振り返る
2023/01/24
-
BCPと助け合える関係が機能した災害復旧活動
2019年の台風19号でグループ含め3工場が壊滅的被害を受けたカイシン工業は、経営トップが「全力復旧」の方針を発表すると各工場が即座に活動を開始。取引先や協力会社の支援を受けて設備の交換を迷いなく進めるとともに、代替生産によって早期に出荷を再開しました。同社のBCPと助け合える関係づくりを紹介します。
2023/01/19
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方