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AIウォッシング戦術という名のリスク

テクノロジーに対する楽観的な見方がある一方、理解度は低く、規制当局の監督がイノベーションに追いついていない状況で、企業は「次世代人工知能」が自社のビジネスを変革し、競合他社を凌駕するだろうと、大胆な公言を発している。残念ながら、できすぎた主張は往々にして現実離れしている。実際、多くの企業はAIの活用範囲、そしてその真の能力やメリットについて、誤解を招くような発言をしたり、嘘になったりしている。

長年にわたり、多くの企業が「AIウォッシング」*)を行ってきた。すなわち、AIソリューションの開発レベルや導入状況を誇張したり捏造したりすることで、AI技術が実際よりも重要であるという印象を与えようとする、欺瞞的なマーケティング戦術である。ビジネスコンサルティング会社Cruxy社のCEO兼創業者であるキャリー・オスマン氏によると、AIウォッシングは「誇大宣伝に囚われ、精査に堪えない市場の兆候」であり、取締役会が「AIを活用した取り組み」を迫られていることで、状況は悪化している。

*)訳者注:「AIウォッシング」(AI washing)とは、企業や組織が自社の製品やサービスにおけるAI(人工知能)の使用を誇張したり、虚偽の主張をしたりする行為を指す。

「どの企業もAIを活用していると言いたがるが、現実は誇大宣伝に陥っている」と、コンプライアンス・アドバイザリー会社De Risk Partnersの創業者、ラヴィ・デ・シルバ氏は述べている。「このような現象は他のテクノロジーサイクルでも見られた。大き過ぎる約束、急速な資金調達、そして十分な監督の欠如だ。今回の違いは、導入のスピードと、AIが企業価値やビジネスモデルにどれほど深く結びついているかである。」

AIウォッシング戦術に手を染める企業は、深刻な結果に直面することになる。顧客・投資家・規制当局を故意に、あるいは不注意に誤解させることで、企業は訴訟や規制当局の調査を受けるリスクを高める。実際にはテクノロジーが何もたらさないというリスクについても保証してしまい、コンプライアンスコストを不必要に増大させることになる。