2017/11/29
防災・危機管理ニュース
内閣官房は28日、「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」の第37回会合を開催。2019年に決定予定の次期国土強靭化基本計画の策定に向け、外部有識者から医療や官民連携、情報共有などでヒアリングを行った。
東北大学大学院教授の辻一郎氏は「被災者の生活支援、健康管理について」と題し説明。2011年に起こった東日本大震災の被災者の住まいと健康への影響について、賃貸・みなし仮設への入居者は震災前と同じ自宅やプレハブ仮設の入居者と比べ飲酒量が多く、心理的苦痛や睡眠障害が多いことを指摘。支援不足や孤立が背景にあり、震災復興について被災者の自立支援を強調すべきとした。
一般社団法人・日本ポジティブ教育協会代表理事の足立啓美(ひろみ)氏は「生きる力を育てるレジリエンス教育 ~個人とコミュニティーのレジリエンスから国家レジリエンスへ」をテーマに話した。自尊感情やストレス耐性の向上に役立つ「レジリエンス教育」を子供のころから行うと、メンタルヘルスの強化になると説明。個人のレジリエンスが家族や組織、コミュニティ、国家のレジリエンスにつながると指摘した。
一般社団法人・ADI災害研究所理事長の伊永(これなが)勉氏は「災害対策における官民の連携 外との協定だけではなく、中に迎える体制つくり」をテーマに説明。市町村など官が民間の活力やノウハウを生かし切れていないと指摘。輸送や医療、通信といった専門知識や技術を持つ人材を官側でアドバイザーとして迎え入れるべきだとした。
京都大学防災研究所巨大災害研究センター教授の矢守克也氏は「コミュニティがつくるレジリエンス」をテーマに、南海トラフ地震で被害が予想される高知県内での取り組みについて説明。黒潮町で津波が来るまでの残り時間を表示し、タイムがゼロになるまでの安全な場所へ避難する訓練に使うスマートフォンアプリ「逃げトレ」を使った実証実験や、屋外になかなか出られない高齢者をまず玄関まで安全に移動させられるよう、玄関までの距離や間取り、家具について記す「屋内避難訓練」を紹介。屋内避難訓練対象者の津波避難訓練の参加率は2015年で36.4%だったが、実施後は100%となり、家具固定も進んでいるという。
最後は国立研究開発法人・防災科学技術研究所レジリエント防災・減災研究推進センター長の藤原広行氏は「防災科学技術研究所におけるレジリエンス情報ネットワーク構築に向けた取り組み」をテーマに説明。府省庁連携防災情報共有システム「SIP4D」について7月の九州北部豪雨では2016年の熊本地震と比較して、空間情報などデータ・情報が増加し、自衛隊や消防、警察、海上保安庁といった実働部隊が利活用するなど、より充実したことを説明した。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/09/15
-
-
-
-
防災は面白くないと広がらない
地震が起きたとき、スマートフォンに通知された情報を頼りに避難を判断することが多いだろう。緊急地震速報の情報から、いまどのように動くべきかを判断できる、そんな身近な危機管理を習慣づけた1 社が、アールシーソリューション(東京都新宿区)だ。2010 年に提供開始したスマートフォンアプリ「ゆれくるコール」は、緊急地震速報を受信できるアプリとして多くのユーザーが利用している。代表取締役の栗山章さんは、数多くのユーザーに防災の重要性を広めてきた一方で、ビジネスとして成り立たせる難しさにも直面してきたという。これまでのサービス開発の経緯や、防災ビジネスへの価値観を聞いた。
2026/09/09
-
被災施設への再入場判断「戻ってはいけない」では解決しない避難後の問題
大地震が発生し、安全な場所へ避難して一息つくと、人々には「ひとまず危険のピークは過ぎた」という根拠なき安心感が芽生える。そして、さまざまな理由で「避難してきた場所に戻りたい」といった気持ちが生じる。しかし、被害がどの程度なら戻ってよいのかについての明確なルールや事例は、どこを探してもあまり見当たらない。 国には応急危険度判定という仕組みや、施設管理者が建物を緊急点検するための指針などもある。が、これらは避難直後の「戻りたいニーズ」に応える仕組みではない。ここに、避難直後の「再入場」という古くて新しい問題がある
2026/09/09
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/09/07
-
-
-
暗黙知を形式知へ、10年の徹底改善が生きた
熊本市の工務店・新産住拓株式会社(小山英文社長)は、2016年の熊本地震や近年相次ぐ豪雨災害を通じて災害対応を磨き上げてきた。発生当日は、約3割の社員が定休日で社長も不在という条件下にもかかわらず、地震発生から50分で社員の安否確認をおおむね完了し、2時間後にはホームページや顧客専用サイトで被害受付を開始した。
2026/08/24





※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方