相次ぐ水害、垣間見えたハザードマップの死角
第23回:水害への備えを場合分けで考える~防災月間に寄せて
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、信州大学特任教授として教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
2026/09/17
これだけは社員に伝えておきたいリスク対策
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、信州大学特任教授として教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
今年の夏は、全国各地で記録的な大雨が続き、河川の氾濫や内水氾濫による被害が多発しました。
水害は地震と異なり、数時間から数日前に気象情報などで予測ができるため、事前に準備や避難などが可能です。例えば、台風による洪水や高潮は、数日前からおおよその規模や進路が予測できます。ただ、いわゆる鉄砲水(短時間の強い雨などにより谷川の水位が急上昇し水流が堰を切ったように押し出すもの)は予測が非常に難しく注意する必要があります。実際、これらの水害は日本のどこでも、毎年のように発生し、大きな影響を及ぼしている災害です。
防災月間である9月は、あらためて水害への備えを考えたいと思います。
「水害」と言っても、さまざまなタイプがありますので、水害への備えも、それぞれの特徴を踏まえて対応することが重要です。
(1)洪水
気象庁のホームページでは、洪水災害について「大雨や融雪などを原因として、河川の流量が異常に増加することによって堤防の浸食や決壊、橋の流出等が起こる災害」と定義しています。中小河川では急激に水位が上がるため、短時間で避難が必要になるケースがあります。
(2)氾濫
氾濫は「河川の水がいっぱいになってあふれ出ること」と説明されますが、氾濫には次の2種類があります。
① 外水氾濫
河川の水位が上昇し、堤防を越えたり破堤するなどして堤防から水があふれ出ることを意味します。単に「氾濫」ともいい、外水氾濫の対語として、河川外における排水困難で浸水することを「内水氾濫」と言います。
② 内水氾濫
大雨で下水道や排水設備が処理能力を超え、道路や住宅地に水があふれる現象です。近年は都市部で特に増えており、河川から離れた地域でも発生します。
(3)高潮
台風や発達した低気圧が通過するとき、潮位が大きく上昇することがあり、これを「高潮」と呼びます。海沿いの地域では、河川の洪水と重なる「複合災害」が起きることがあります。
いずれの場合も、水害は一たび起こると、その危険度が上がるスピードが速いことが特徴ですから、地震とは異なる初動対応が求められます。
ハザードマップは重要な情報源ですが、今年の災害では、想定を上回る浸水と被害が複数の地域で発生しています。背景には次のような要因があると考えられます。
そのため、ハザードマップは「絶対の予測」ではなく、あくまで「リスクの目安」として活用しつつ、直近の気象情報を併せて判断することが不可欠です。
また、ハザードマップは自治体ごとに更新頻度が異なるため、最新の情報かどうかを確認することも重要です。古い情報で避難準備をしていると文字通り、足をすくわれます。
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