Q、四川大地震では最大震度が11を記録したと聞いたことがあるけど、どういうこと?


A、

日本の震度が10階級(0∼7、5・6だけ弱・強)なAのに対し、中国(アメリカやヨーロッパも)では震度が12階級で表される。人間の間隔(揺れの感じ方)や、物体の反応(物が壊れる程度)、建物の崩壊度、自然現象(山崩れ、土石流)などによって震度が決められている。

Q、四川大地震の被災後の写真を見ると、ずいぶん建物の構造が弱いように思うんだけど、耐震基準はどうなっているの?
A、中国の耐震設計基本方針は、簡単に説明すると「小さな地震で壊れない」「中規模の地震なら修理可能」「大きな地震では倒れない」ことが定められている。小さな地震とは、50年内の発生確率が63.2%以上、つまり50年に1度あるくらいの地震。中規模な地震とは50年内の発生確率が10%以上で475年に1度あるような地震、大地震とは50年内の発生確率が2∼3%、1200年∼1300年に一度あるような地震を指す。地震が発生する確率は地方によって異なるため、中国では地震区分図というものに基づき、地方ごと発生確率と震度に応じて、耐震の基準を決めることになっている。ただ、四川大地震を視察したある日本の設計者によれば、そもそも耐震基準が守られていないような建築物がほとんどだったと話している。

ちなみに中国では、四川大地震の発生を受け、2008年7月に耐震設計を見直し、学校建築や病院などの多くの人が集まる建築物の耐震グレードを引き上げることを決めた。

Q、四川に続き青海省でも地震が起きたけど、中国での地震は今後も注意が必要なの?


A、

中国も日本と同じ震大国として知られる。台湾や海南省は環太平洋地震帯に位置するし、内陸は歴史的にも大きな地震が多く発生している。日本地震学会副会長の石川有三氏は、四川大地震が発生したインドプレートとユーラシアプレートの境界地帯は1997年から活動期に入ったと指摘しており、2004年のスマトラ超巨大地震や2005年のスマトラ沖地震、パキスタン地震なども同じプレート境界によるものだとの見方を示している。石川氏によると、一帯の活動期は過去の歴史からみると20年以上も続くもので、あと10年程は注意が必要としている。

Q、災害に対する行政の危機管理体制はどうなっているの?
A、中国では2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)をきっかけに応急危機管理体制を見直した。中央と地方にそれぞれ危機管理委員会という組織を設立し、統括部門を国務院に設置。主に自治体が中心となる日本の危機管理体制とは異なり、国務院が地方を指導している。中国は、防災体制こそ十分な状態とは言えないが、四川大震災が発生した2時間後に温家宝首相が現地に向けて発つなど、国を挙げた初動の早さは危機管理の1つの特徴といえるかもしれない。

Q、民間の防災意識は高まっているの?
A、中国では、四川大地震があった5月12日を防災減災デーと定めた。また、10年前に制定された「防災減災法」を改定し、地震対策や被災者の収容、地震観測予報や被災予報、応急対策、震災後の復旧などの規定を追加するなど、地震対策を強化している。しかし、地域によっても異なるだろうが、中国では水害や土砂災害、感染症などさまざまな自然災害があることもあり、地震に対する民間の防災意識が一気に高まっているとは言えそうにない。上海市が市民に配布している防災手帳には、地震以外に、火災や交通事故、伝染病、食中毒、竜巻や暴雨などの気象災害、化学事故、テロ対策など、さまざまな脅威への対策が載っている。

上海市が市民に配布している
「市民防災手帳」