企業は従業員不祥事による炎上に丸腰!?
第20回:バイトテロ対策の実施わずか3割
吉野 ヒロ子
1970年広島市生まれ。博士(社会情報学)。帝京大学文学部社会学科准教授・内外切抜通信社特別研究員。炎上・危機管理広報の専門家としてNHK「逆転人生」に出演し、企業や一般市民を対象とした講演やビジネス誌等への寄稿も行っている。著書『炎上する社会』(弘文堂・2021年)で第16回日本広報学会賞「教育・実践貢献賞」受賞。
2026/02/12
共感社会と企業リスク
吉野 ヒロ子
1970年広島市生まれ。博士(社会情報学)。帝京大学文学部社会学科准教授・内外切抜通信社特別研究員。炎上・危機管理広報の専門家としてNHK「逆転人生」に出演し、企業や一般市民を対象とした講演やビジネス誌等への寄稿も行っている。著書『炎上する社会』(弘文堂・2021年)で第16回日本広報学会賞「教育・実践貢献賞」受賞。
企業のブランド価値を毀損するレピュテーションリスク。今もなお多くの企業を悩ませているのが、ネット炎上の問題です。
近年では、飲食店などで執拗な迷惑行為を行う「客テロ」がメディアを騒がせ、社会問題として大きく注目されています。しかし、その影で根深く、かつより深刻なダメージを企業に与え続けているのが、アルバイトや従業員が不祥事を引き起こす「バイトテロ」です。
直近でも、2025年12月に居酒屋のアルバイト店員が提供前のご飯を素手でつまみ食いする様子を収めた動画がSNSで拡散され、大きな批判を浴びてしまいました。
日本国内で最初の「バイトテロ」が発生したのは2005年のことと言われています。それから20年以上、携帯電話がスマホになり、さまざまなソーシャルメディアが登場しながらも、全国各地で似たような騒動が繰り返されてきました。
2026年1月に、マイナビキャリアリサーチLabはバイトテロに関する調査結果(※)を公表しました。
(※)バイトテロの実態・対策に関する企業調査(2026年版)
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260121_106261/
この調査では、2025年に「バイトテロ」が発生した企業は26.3パーセント。実に4社に1社という高確率で発生しているとしています。その一方で、具体的な対策を実施している企業はわずか34.8パーセントに留まっています。
ネット炎上の研究を10年以上行っている立場からすると「4社に1社」という発生率はいくらなんでも高すぎるとびっくりしたのですが、この調査では、バイトテロとは「アルバイト従業員による不適切なSNS投稿や業務中のいたずらなど」と独自の定義をしています。
つまり、炎上していない多数の不適切な行為も含めてこの数字、ということのようです。いわばバイトテロ型炎上のヒヤリハット事例ということになりますが、こんなに発生しているとは驚きでした。
もうひとつ気になるのが、6割以上の企業が具体的な対策を実施していないという結果です。
大学で炎上に関する講義を行うと、学生たちからは「バイト先で『勤務中はネット投稿をしない』といった同意書を書かされた」という声をひんぱんに耳にします。少なくとも、飲食チェーン店やコンビニなどでは、バイトテロ対策はそれなりに浸透しているんじゃないかと思っていたのですが、実際には6割以上の企業が「対策なし」の状態であるということになります。
今回は、この調査結果を読み解きながら、バイトテロ対策の現状を考えていきたいと思います。
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