【カイロ時事】イスラム組織ハマスとの戦闘を続けるイスラエルのネタニヤフ首相は、米ABCテレビとのインタビューで、パレスチナ自治区ガザ最南端の都市ラファへの本格侵攻に関し「われわれはやる」と明言した。ABCが11日、同日放映予定のインタビューの一部を公開した。
 ネタニヤフ氏はハマスとの戦闘に関し、「勝利は手の届くところにある」と主張。ハマスの大隊が残るラファへの侵攻に反対することは「戦争に負けろと言っているに等しい」と語った。ガザ住民が退避できる「安全な通路を提供する」とも語った。
 ハマスは11日の声明で、イスラエル軍がラファに侵攻すれば、戦闘休止に向けた交渉は「吹き飛ぶ」と主張。イスラエルをけん制した。
 100万人以上が避難するラファで地上部隊の投入を含む侵攻が行われれば、民間人被害の一層の拡大は避けられない。サウジアラビア政府は声明で、ガザ市民に「深刻な影響」をもたらすと警告。ラファと境界を接し、ガザ住民の流入を警戒するエジプトは、侵攻すれば「平和条約は停止される」とイスラエル側に伝達したと報じられている。
 一方、イスラエルのメディアは10日、ガザ最大都市ガザ市にある国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の本部施設地下で、ハマスが諜報(ちょうほう)活動で使っていた「データセンター」を軍が発見したと伝えた。
 軍によると、過去2週間の作戦で、UNRWA本部施設の18メートル地下を通る約700メートルのトンネルに行き着いた。施設からトンネルに電力が供給されていたことを確認したほか、施設内で大量の武器を押収。軍は施設について「ハマスに使用されていた」と主張した。
 UNRWAのラザリニ事務局長は、施設の地下に何があるかは「知らなかった」とX(旧ツイッター)に投稿。UNRWA職員はイスラエルの退避命令に従い、昨年10月12日に施設を去ったといい、施設がその後どのように使われたかは分からないと述べた。
 UNRWAを巡っては、職員が10月7日のハマスによるイスラエル急襲に関与した疑いが浮上。イスラエルはUNRWAの解体を求めている。 
〔写真説明〕国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の本部施設地下で、イスラム組織ハマスが使っていたとされるトンネルの内部を案内するイスラエル軍兵士ら=8日、パレスチナ自治区ガザ(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)