【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザの保健当局は29日、昨年10月以降のイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘によるガザでの死者が3万35人に達したと発表した。戦闘開始から5カ月が経過しようとする中、イスラエル軍は激しい攻撃を継続。支援物資の搬入停滞により各地で飢餓の危機が現実味を帯びており、人道状況の悪化に歯止めがかからない。
 中東の衛星テレビ局アルジャジーラは29日、イスラエル軍がガザ北部で支援物資を受け取ろうと集まった人々に発砲したと報じた。ガザ当局によると100人以上が死亡した。
 イスラエル軍は空撮映像を公開。物資を積んだトラックに人々が殺到し、「(互いに)押したり踏み付けたり、トラックにひかれたりして死傷した」と主張した。これに関し、軍関係者はAFP通信に対し、殺到した人々が「部隊にとって脅威となった」ため発砲したと語った。
 国連人道問題調整事務所(OCHA)は27日、ガザ住民の約4分の1に当たる少なくとも57万6000人が飢餓寸前の状態だと警告した。ガザ当局者は、栄養失調などで複数の子供が北部ガザ市などで死亡したとし、国際機関に「緊急の対策」を講じるよう訴えた。
 報道によると、米当局者は28日、地上からの物資搬入が困難なため、軍用機から物資を投下することを検討していると語った。エジプトやヨルダン、フランスなどは既に実施している。 
〔写真説明〕28日、パレスチナ自治区ガザ南部ラファの避難民キャンプ周辺で、水を運ぶ子供たち(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)