2024/03/02
防災・危機管理ニュース
能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県珠洲市で、倒壊する家屋や押し寄せる津波、避難する人々の様子が、高齢者施設の送迎車のドライブレコーダーに記録されていた。施設を運営する同市の社会福祉法人「長寿会」の担当者は「減災に役立ててほしい」と話している。
送迎車にはデイサービスを利用する80〜90代の高齢男女6人が乗り、当時職員だった女性が運転。映像には、午後4時10分の発生直後から車が左右に激しく揺れる様子や、地面が波打ち、次々と倒壊していく家屋が映っている。利用者の「ぎゃー」「なんじゃこれ」との悲鳴も録音されていた。
揺れが収まると、津波警報が鳴り出した。倒壊した家屋などで道がふさがれ、女性は「津波来るかもしれん」「降りな駄目や」と、車を降りて避難するよう促す。利用者は歩いて移動を始めたが、自力歩行が難しく、近隣住民とみられる男性におんぶしてもらって逃げた人もいた。
録音・録画はいったん止まったものの、約30分後に自動で再開。無人の送迎車が、他の車やがれきと共に濁流に流されていく様子が映っていた。
長寿会の高堂泰孝事務局次長(50)によると、利用者らは高台にある同会の施設まで逃げ、無事だった。運転していた女性は「今までの地震と違い、大きく長く揺れていたので、逃げないといけないと思った」と話したという。
高堂さんは「衝撃的で、改めて地震の怖さを実感した。耐震化や避難訓練など、地域の減災の取り組みに生かしてほしい」と願った。
〔写真説明〕能登半島地震の津波による濁流=1月1日午後、石川県珠洲市(社会福祉法人「長寿会」提供のドライブレコーダーより)
〔写真説明〕能登半島地震を受け、助け合いながら避難する施設利用者や住民ら=1月1日午後、石川県珠洲市(社会福祉法人「長寿会」提供のドライブレコーダーより)
〔写真説明〕能登半島地震の揺れで倒壊する家屋=1月1日午後、石川県珠洲市(社会福祉法人「長寿会」提供のドライブレコーダーより)
(ニュース提供元:時事通信社)
![](/mwimgs/5/1/-/img_51b937252793e1f48d90f5b6052ad0f336587.jpg)
![](/mwimgs/c/b/-/img_cbaa0a7fc9f4de31b87fe9293dd2bb1838839.jpg)
![](/mwimgs/a/9/-/img_a9f5c6daf70c2b50dc228cdb5630168628561.jpg)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
3線モデルで浸透するリスクマネジメントコンプライアンス・ハンドブックで従業員意識も高まる【徹底解説】パーソルグループのERM
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、総合人材サービス事業を展開するパーソルグループでは、2020年のグループ経営体制の刷新を契機にリスクマネジメント活動を強化している。ISO31000やCOSO-ERMを参考にしながら、独自にリスクマネジメントの体制を整備。現場の業務執行部門(第1線)、ITや人事など管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)でリスクマネジメントを推進する3線モデルを確立した。実際にリスクマネジメント活動で使っているテンプレートとともに、同社の活動を紹介する。
2024/07/23
-
インシデントの第一報を迅速共有システム化で迷い払拭
変圧器やリアクタなどの電子部品や電子化学材料を製造・販売するタムラ製作所は、インシデントの報告システム「アラームエスカレーション」を整備し、素早い情報の伝達、収集、共有に努めている。2006年、当時社長だった田村直樹氏がリードして動き出した取り組み。CSRの一環でスタートした。
2024/07/23
-
「お困りごと」の傾聴からはじまるサプライヤーBCM支援
ブレーキシステムの開発、製造を手掛けるアドヴィックスは、サプライヤーを訪ね、丁寧に話しを聞くことからはじまる「BCM寄り添い活動」を2022年度から展開している。支援するのは小規模で経営体力が限られるサプライヤー。「本当に意味のある取り組みは何か」を考えながら進めている。
2024/07/22
-
-
危機管理担当者が知っておくべきハラスメントの動向業務上の指導とパワハラの違いを知る
5月17日に厚生労働省から発表された「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、従業員がパワハラやセクハラを受けていると認識した後の勤務先の対応として、パワハラでは約53%、セクハラでは約43%が「特に何もしなかった」と回答。相談された企業の対応に疑問を投げかける結果となった。企業の危機管理担当者も知っておくべきハラスメントのポイントについて、旬報法律事務所の新村響子弁護士に聞いた。
2024/07/18
-
基本解説 Q&A 線状降水帯とは何か?集中豪雨の3分の2を占める日本特有の現象
6月21日、気象庁が今年初の線状降水帯の発生を発表した。短時間で大量の激しい雨を降らせる線状降水帯は、土砂災害発生を経て、被害を甚大化させる。気象庁では今シーズンから、半日前の発生予測のエリアを細分化し、対応を促す。線状降水帯研究の第一人者である気象庁気象研究所の加藤輝之氏に、研究の最前線を聞いた。
2024/07/17
-
-
災害リスクへの対策が後回しになっている円滑なコミュニケーション対策を
目を向けるべきOTリスクは情報セキュリティーのほかにもさまざま。故障や不具合といった往年のリスクへの対策も万全ではない。特に、災害時の素早い復旧に向けた備えなどは後回しになっているという。ガートナージャパン・リサーチ&アドバイザリ部門の山本琢磨氏に、OTの課題を聞いた。
2024/07/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方