インターネット上での偽情報の拡散が深刻な問題になっています。今回は、フェイクニュースが広がりやすい理由や対策について考えます。

■事例:社会問題となるフェイクニュース

元日に発生した能登半島地震において、過去に発生した災害と同様、さまざまなフェイクニュースが拡散されました。例えば、地震発生後すぐに「能登の津波」と称したフェイク動画が投稿され、それらは国内のみならず、世界各地に拡散されていきました。しかし、その投稿に添付されていた動画は、東日本大震災において岩手県宮古市役所から撮影された動画でした。また、SNSでは、被害が大きかった石川県内などの具体的な住所を挙げて「人が挟まれている」と救助を求める嘘の投稿や、「外国人による窃盗団が集まった」などとするデマが流されました。

過去の災害においても、東日本大震災では「千葉県の石油コンビナートの爆発で、関東地方には、このあと有害物質の雨が降る」といったデマが流され、大々的に拡散されました。2016年の熊本地震の際には「動物園からライオンが逃げた」という投稿が路上に立つライオンの画像を添付して流され、1時間のうちに2万件以上リツイートされ、またたく間に拡散されました。2018年の西日本豪雨の際は、「レスキュー隊のような服を着た窃盗グループが被災地に入った」「大阪ナンバーのセレナやパジェロには気を付けるように」といった不確定情報が多数投稿、拡散され、広島県警が「そのような事実は確認していない」という声明を発表しました。さらに、2022年には、台風15号による水害被害が発生している静岡県で「ドローンで撮影された静岡県の水害」と称し画像が投稿されましたが、実は画像生成AIで作成したフェイク画像と判明しました。後に投稿者は「大した目的はない。そもそも安易にこれが広まると想定していなかった」と話し、物議を醸しました。

危機管理を担当しているAさんは、災害発生時に企業としてのさまざまな情報収集はもちろん、従業員の安全のために適切な情報発信を行う役割を担っています。しかしながらAさんはこれらの一連のフェイクニュースのまん延を目の当たりにし、暗澹(たん)たる気持ちになっています。「災害時のフェイクニュースは混乱を引き起こし、救助活動にも支障をきたすなど有害であるにも関わらず、どうしてそのような投稿が無くならないのか? 従業員の安全のためには、周辺の状況や道路状況、交通機関の情報を適切に提供する必要があるが、一体何を信じて、どのように対処すべきだろうか?」と考えています。