公正取引委員会は15日、下請け企業との間で人件費や原材料費などコスト上昇分の価格転嫁について協議せず、取引価格を据え置いたとして、ダイハツ工業や京セラなど10社の社名を公表した。中小企業が賃上げ原資を確保できる環境を整備するため、10社には下請け企業との価格交渉を促し改善を求める。
 公取委は、下請け約11万社から取引価格の据え置きが多く報告された発注側企業に対し、個別に任意の立ち入り調査や報告命令を行った。2022年6月~23年5月の取引で、相当数の価格据え置きが確認された企業名を公表した。
 10社の中には、物流大手セイノーホールディングス傘下の西濃運輸(岐阜県大垣市)や三菱ふそうトラック・バス(川崎市)、日野自動車子会社で輸送機器メーカーのソーシン(埼玉県入間市)、イオングループでビル管理を手掛けるイオンディライトなどがあった。
 公取委は、コスト上昇分を取引価格に反映させず据え置く行為は、独禁法が禁じる「優越的地位の乱用」などに当たる可能性があると指摘している。企業取引課は「公表によって価格転嫁をより一層後押しする」と説明している。 
〔写真説明〕公正取引委員会=東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)