NX総合研究所の大島弘明氏は31日までに時事通信のインタビューに応じ、トラック運転手の時間外労働への上限規制導入で懸念される「2024年問題」で、物流改善に荷主の協力が不可欠との考えを強調した。同研究所は、対策を講じなければ輸送力が24年度に14.2%、30年度に34.1%不足すると試算する。主なやりとりは次の通り。
 ―トラック運転手の残業規制への対応状況は。
 全体的には運送事業者も荷主もまだ様子見だ。対応する動きもあるが、決して十分ではない。輸送力が丸々14%不足することはないだろうが、ハードランディングする部分は出てくる。
 ―何が起こるのか。
 4月に急に何かが変わるということは少ないだろう。ただ、残業規制で、もう運べないという運送事業者が出てきても不思議ではない。特に大消費地まで距離がある地域ほど、運転手の労働時間が長くなり影響が出やすい。地域の産業は荷物を運んでもらえなければ、商売にならない。メーカーも、原材料や部品が届かなければ(製品を)造れないケースが出てくる危険性がある。
 ―どうするべきか。
 最後に困るのは荷主だ。物流が滞れば産業活動ができなくなり、経済に大打撃となると理解してもらいたい。物流改善は荷主の協力なしにはできない。(荷物をまとめて載せる)パレット利用が進まず、手積み・手降ろしをやらざるを得なくしているのも、長時間労働の要因となる荷待ち時間を発生させているのも、発荷主と着荷主の取引だ。荷主間でどう改善するか決めない限り、変わらない。
 ―運転手の確保は。
 労働時間を短くするとともに賃金を上げないと人が来ない。これには運賃を引き上げるしかなく、産業界は受け入れざるを得ない。個社による改善には限界があるので、サプライチェーン(供給網)全体での最適化を目指すべきだ。荷主と運送事業者がウィンウィンの関係をいかにつくるかが重要だ。 
〔写真説明〕インタビューに答えるNX総合研究所の大島弘明氏=3月18日、東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)