【カイロ時事】北アフリカのスーダンで正規軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の衝突が起きてから15日で1年。国際社会の調停にもかかわらず戦闘は泥沼化し、和平の見通しは立たない。約860万人が住居を追われ、食料不足も深刻化しており、スーダンは「近年では最悪の人道災害」(国連)に直面している。
 スーダンでは2021年に軍がクーデターで実権を握り、意思決定機関「統治評議会」の議長に軍トップのブルハン氏が、副議長にRSFのダガロ司令官が就いた。両者は民政移管の途上でRSFの軍への統合を巡り対立を深め、昨年4月15日、軍事衝突に発展。国民の民主化の希望は霧散し、内戦状態に陥った。
 首都ハルツームや隣接するオムドゥルマンでの激しい戦闘は、西部ダルフール地方など各地に拡大した。国連によると、確認できただけで約1万5000人が死亡。約660万人が国内で避難生活を強いられているほか、約200万人が国外に逃れた。医療機関の8割は機能せず、約1800万人が深刻な飢えに苦しんでいる。
 米国やサウジアラビア、エジプトなどが調停を試みたが、いずれも実を結んでいない。スーダンのメディアによると、今月18日にもサウジで行われるとみられていた和平協議についても、ブルハン氏が「戦争が続く限り、交渉しない」として参加に否定的な見解を示した。ダガロ氏は15日、ビデオ演説を公開し、「戦争を始めたのは軍の方だ」と改めて非難した。
 オムドゥルマンから北部に逃れた3児の母アマル・アミンさん(31)は時事通信の電話取材に、「殺人や略奪、レイプが頻発している」と治安が崩壊した状況を語った。「軍もRSFも国民のことなど気に掛けていない。彼らがこの国を破壊した」と怒りをあらわにした。 
〔写真説明〕スーダン北東部ポートスーダンで撮影に応じる正規軍兵士ら=2023年4月(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)