東京、大阪、愛知の3都府県では2040年、熱中症の救急搬送者数が13~19年平均と比較して倍増するとの予測を、名古屋工業大の平田晃正教授(医用工学)らの共同研究グループがまとめた。地球温暖化や高齢化が要因で、搬送者の増加による医療逼迫(ひっぱく)が懸念されるとしている。
 論文は23日までにオランダの学術誌に掲載された。産業革命前と比べ、40年に世界の平均気温が2度上昇するという国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」のシナリオに基づき、海洋研究開発機構が3都府県の気温をシミュレーション。平田教授らが開発した熱中症搬送者数の予測式と組み合わせ、算出した。
 その結果、40年の7~8月における1日当たりの搬送者数は、東京で132.9人、大阪で105.3人、愛知で105.4人。13~19年の平均と比較し、1.8~2.0倍となった。
 東京では、65歳以上の高齢者数が約316万人(19年)から約400万人に増加すると見込まれる。また、海洋機構のシミュレーションでは、東京の7~8月の平均気温は27.1度(13~19年)から1.6度上昇すると想定した。
 熱中症搬送者の半数超を占める高齢者は、発汗などの体温調節機能が低下することから重症化率が高い。平田教授は「熱中症は防げる病気。地球温暖化が進む中で、対策を取ることが重要だ」と話している。 
〔写真説明〕強い日差しの中、日傘を差して歩く人たち=2023年7月、東京都中央区

(ニュース提供元:時事通信社)