2024/07/01
防災・危機管理ニュース
【ベルリン時事】国連教育科学文化機関(ユネスコ)は6月に公表した報告書で、生成AI(人工知能)が、ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)の史実を改ざんする恐れがあると警鐘を鳴らした。偽情報の拡散に利用されたり、存在しない出来事を答えたりするケースが報告されているという。
報告書によると、対話型AIの代表格チャットGPTは、ナチスによるユダヤ人の殺害方法の一例として「川や湖で水死させた」と回答した。しかし、こうした事実は記録にない。これは生成AIが存在しない情報を生み出す「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる現象で、滑らかな文書の作成を目指す性質が原因とされる。
ユネスコは、反ユダヤ主義的な主張を学習したAIを通じて偏見が強化される可能性を指摘。また、生成AIの作る音声や画像データは、専門家でも真偽の判別が難しいケースがあるといい、「歴史証言の捏造(ねつぞう)や、史料の改ざんに悪用されかねない」と訴えた。
アズレ事務局長は「無責任なAIの利用が、反ユダヤ主義の爆発的な広がりや、ホロコーストに対する理解の低下につながるかもしれない」と警告。AIサービスの利用頻度が高い若年層への啓発やソフト開発の規制を求めた。
〔写真説明〕国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部=仏パリ(EPA時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/05/20
-
永野芽郁と田中圭の報道から考える広告リスクタレントの不倫疑惑
「不倫報道で契約解除」は企業の広告・広報担当者にとって決して珍しい判断ではなくなりました。特に「B to C」企業は世間の空気に過敏にならざるを得ない構造があります。永野芽郁さんと田中圭さんという人気俳優による不倫報道が世間をにぎわせています。企業にとって本質的に問われるべきは、タレントの私生活そのものではなく「報道によって自社ブランドが受けるリスクをどう評価し、どう備えていたか」という事前準備と、報道後のブレない対応です。本稿では、広告タレント起用のリスクに対して、企業が準備しておくべきこと、そして“報道された時”にどう判断すべきかを整理します。
2025/05/20
-
-
-
「まさかうちが狙われるとは」経営者の本音に向き合う
「困った人を助け、困った人を生み出さず、世界中のデータトラブルを解決します」。そんな理念のもと、あらゆるデータトラブルに対応するソリューションカンパニー。産業界のデータセキュリティーの現状をどう見ているのか、どうレベルを高めようとしているのかを聞きました。
2025/05/13
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方