2025/05/23
防災・危機管理ニュース
小泉進次郎農林水産相は23日、随意契約で放出する備蓄米の店頭価格を5キロ当たり2000円程度にすると表明した。3月以降に競争入札を通じて放出した分の半額程度で売り渡し、契約先が輸送費などの経費を上乗せして販売する。最近の店頭価格よりも大幅に安い備蓄米を供給し、コメの高騰に歯止めをかける。26日に随意契約の手続きを開始。まず30万トン放出し、需要があれば追加する。
東京都内で記者団の取材に答えた。備蓄米が店頭に並び始めるまでにかかる期間については「契約から1週間程度で出せる」と述べ、早ければ6月初めに消費者に届くとの見通しを示した。売り渡し先は1万トン以上扱える大手小売業者を想定し、買い戻し条件は付けない。
農水省はこれまで、競争入札で高い値段を提示した業者に売り渡していた。落札価格は60キロ当たり約2万円だったが、随意契約に切り替えて1万円程度に抑える。与党幹部は、契約先の販売価格について「原価だ。これでもうけてもらっては困る」と語った。
ただ、低価格の備蓄米が出回る時期は地域によって異なる見通し。小泉氏は23日の記者会見で「早く届けられるところには2000円台で届けていく。政治判断だ」と、公平性よりもスピードを優先する考えを示した。
農水省の集計によると、全国のスーパーで販売されるコメ5キロ当たりの平均価格は3月以降、4000円を上回っている。政府備蓄米の放出後も上昇傾向が続き、石破茂首相は国会で3000円台に引き下げる方針を表明していた。
これまで備蓄米の入札参加資格は玄米の年間仕入れ量が5000トン以上の大手集荷業者に限られ、落札量の約95%を全国農業協同組合連合会(JA全農)が占めた。政府は今回の随意契約で、スーパーなどの小売業者やインターネット通販を手掛ける事業者に売り渡す。
安い備蓄米の効果でコメ全体が値下がりすることは農家の所得向上と矛盾しかねないが、小泉氏は「今はあまりに高過ぎる」と指摘。価格抑制の理由を「コメ離れを防ぐためだ」と説明し、JAグループや生産者に理解を求めた。
〔写真説明〕閣議後記者会見に臨む小泉進次郎農林水産相=23日午前、東京都千代田区
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/11/18
-
企業存続のための経済安全保障
世界情勢の変動や地政学リスクの上昇を受け、企業の経済安全保障への関心が急速に高まっている。グローバルな環境での競争優位性を確保するため、重要技術やサプライチェーンの管理が企業存続の鍵となる。各社でリスクマネジメント強化や体制整備が進むが、取り組みは緒に就いたばかり。日本企業はどのように経済安全保障にアプローチすればいいのか。日本企業で初めて、三菱電機に設置された専門部署である経済安全保障統括室の室長を経験し、現在は、電通総研経済安全保障研究センターで副センター長を務める伊藤隆氏に聞いた。
2025/11/17
-
-
-
-
-
社長直轄のリスクマネジメント推進室を設置リスクオーナー制の導入で責任を明確化
阪急阪神ホールディングス(大阪府大阪市、嶋田泰夫代表取締役社長)は2024年4月1日、リスクマネジメント推進室を設置した。関西を中心に都市交通、不動産、エンタテインメント、情報・通信、旅行、国際輸送の6つのコア事業を展開する同社のグループ企業は100社以上。コーポレートガバナンス強化の流れを受け、責任を持ってステークホルダーに応えるため、グループ横断的なリスクマネジメントを目指している。
2025/11/13
-
リスクマネジメント体制の再構築で企業価値向上経営戦略との一体化を図る
企業を取り巻くリスクが多様化する中、企業価値を守るだけではなく、高められるリスクマネジメントが求められている。ニッスイ(東京都港区、田中輝代表取締役社長執行役員)は従来の枠組みを刷新し、リスクマネジメントと経営戦略を一体化。リスクを成長の機会としてもとらえ、社会や環境の変化に備えている。
2025/11/12





※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方