NTTは23日までに、雷雲の接近時にドローンを飛ばし、誘発した雷を直撃させて地上への落雷を防ぐ実験に成功したと発表した。雷の直撃にも耐えられるドローンを開発し、導電性ワイヤを通じて地上に電気を流す仕組み。屋外のイベント会場など、避雷針を設置できない場所での被害防止に役立つと期待される。
 落雷は、人的被害や火災の原因となるだけでなく、通信設備などのインフラにも影響を与える。高さ20メートルを超える建築物には建築基準法で避雷針の設置が義務付けられているが、屋外では設置が難しい場合も多い。
 NTTの研究チームは、ドローン本体の周囲に金属シールドを付け、雷が直撃しても本体に電気が流れないドローンを開発。昨年12月~今年1月、島根県浜田市の山間部で飛ばし、実証実験を行った。
 まず、落雷の前兆となる地上の電界強度が高くなったところでワイヤの付いたドローンを高度300メートルまで上昇させた。地上側のスイッチを操作して通電可能な状態にしたところ、ドローン周囲の電界強度が急激に変化して、誘発された雷が直撃。高圧電流はシールド経由でワイヤから地上に流れた一方、ドローンは故障せずに飛行を続けたという。
 同社は今後、実用化に向けて雷の予測精度を高めるほか、誘発させた雷のエネルギーを蓄積、利用する手法の開発にも取り組むとしている。 
〔写真説明〕上空で雷を誘発し、地上に電気を逃がすことで落雷被害を防止する耐雷ドローン(NTT提供)

(ニュース提供元:時事通信社)