連載
-
お雇いアメリカ人青年教師ウィリアム・ホィーラー:その精神と実践
「私は諸君に知識や技術だけを教えに来たのではない。本当に学んで欲しいのは、人類愛の精神である。神を敬う心である。また何ごとにもくじけない精神である」。
2018/12/03
-
ライン川紀行~“父なるライン”を行く~
5年前(2013年)のことである。私は、8月末から9月初めにかけてライン川を1週間かけて下った。当時の紀行文を一部リライトした上で再録することをお許し願いたい。私には忘れがたい海外視察の<豊かな旅>だったからである。
2018/11/26
-
第7回:AIの未来がコワすぎる5つの理由(後編)
前回は、米国のメディアCNBCがAIの未来について専門家から意見を聞いてまとめた「5つの脅威」のうち2つの脅威をご紹介しました。今回はその後半、3つの脅威について考えてみましょう。
2018/11/22
-
私が愛するアメリカ詩人R・フロスト~自然と人生~
私はアメリカに取材旅行や現場視察などで出かける際に、必ずと言っていいほど1冊の英語詩集を旅行カバンに入れた。現代アメリカを代表する詩人の一人ロバート・フロスト(1874~1963)の詩集である。何度も携帯したのでハードカバーの詩集はボロボロである。私はフロストの詩に学生時代に巡り合って以降、彼の作品を半世紀もの間愛読している。とりわけフロストが長年住みつき詩の舞台として描いた自然豊かなアメリカ北東部のニューイングランド地方を訪れる時には全集を持参して機内、ホテル、取材の合間に思いつくままページを開いては黙読した(私はフロストとともにエドガー・アラン・ポーの詩集も愛読した)。
2018/11/19
-
文豪・夏目漱石と科学・技術に対する理解
再度、夏目漱石を論じる。夏目漱石(1867~1916)が近現代日本を代表する国民的作家であることを否定する人はいないだろう。漱石は本名金之助、江戸・牛込の名主の家に生まれた。東京帝国大英文科卒。東京高等師範学校(現筑波大)、松山中学(現松山東高)、第五高校(現熊本大)の英語教師を経て、イギリスに2年間留学した。帰国後東京帝大講師となり、後に朝日新聞に入社して新聞小説を連載する。主な作品に「吾輩は猫である」「坊っちゃん」「草枕」「三四郎」「それから」「こころ」「道草」「明暗」などがある。名作ばかりである。享年49歳。
2018/11/12
-
第6回:AIの未来がコワすぎる5つの理由(前編)
AIは私たちの暮らしを豊かにしてくれるであろうことは、誰しもが認めるところではありますが、他方、AIにもそれなりの懸念すべきリスクがあるわけです。しかし世の中の現実を見れば、どちらかと言えばネガティブなAIの話は敬遠されがちで、多くは期待と希望に満ちた目でAIが見られていることを実感せざるを得ません。このオプティミスティックな雰囲気は言うまでもなく、AIがすでにビジネスや投資の対象として深く経済世界に浸透しているからなのでしょう。
2018/11/08
-
米国メディア、トランプ大統領に対抗、一斉に立ち上がる
「新聞なき政府か、政府なき新聞か。いずれかを選べと迫られたら、ためらわず後者を選ぶ」。米国の<建国の父>で第3代大統領、報道の自由や人権を定めた憲法修正条項(権利章典)の生みの親トーマス・ジェファーソンのよく知られた言葉である。「言論と報道の自由」は権利章典の第1条が掲げる米国文明の魂である。原点である(ジェファーソンには別の側面があることを歴史は伝える。彼は奴隷の女性との間の隠し子スキャンダルを追及する新聞がよほど憎らしかったのか、その後新聞批判を強めた)。彼は奴隷制に反対しながら、大農場で多くの黒人奴隷を使役していた。黒白矛盾した面のある自由主義者ジェファーソンだった。これは200年も前の話である。
2018/11/05
-
第4回 知ってましたか?消火栓は誰でも使えます!
前回(連載第3回)は、いかに消火器では実際の火災が消せないかを解説しました。ではどうしたら初期消火を成功させることができるのでしょうか。 身の回りに注意を向ければ、皆さんが住むマンションや勤務先のビルの共用部、通勤途中の駅、買い物に行くスーパー、高速道路のトンネル内、大きな倉庫や工場などの敷地内、道路脇のマンホールの蓋まで、いたるところに「消火栓」があることに気づきます。
2018/10/30
-
最も<古くて・新しい大学>筑波大学~その創成する精神、IMAGINE THE FUTURE~
「本学は二つの金メダル獲得を目指しています。一つはノーベル賞のそれ、もう一つはオリンピックのそれです」、「本学は国内外に<開かれた大学>を積極的に進めています。世界のトップレベルの研究者でUniversity of Tsukubaを知らない人はいないと思います」。
2018/10/29
-
第5回:ハローワークに並ぶのは人間、それともロボット?
米国のSF作家アイザック・アシモフは、SF小説の中でロボットが従わなければならない3つの原則を定めました。それが「ロボット3原則」です。次のように人間に対する安全性、人間の命令への服従、自己防衛を柱としています。
2018/10/25
-
幕末群像~開明派の苦闘、江川太郎左衛門、ジョン万次郎、大鳥圭介~
本年は明治維新から150年。日本を震撼させたペリー率いるアメリカ東インド艦隊は、再来訪を予告して引上げたが、再びその威圧的姿を現したのは、幕府の予想より早く嘉永7年(1854)正月のことであった。ここに激動の幕末が幕を開ける。安政と年号が改まるのはこの年11月である。対応に苦慮した幕府首脳は、韮山代官・江川太郎左衛門英龍(ひでたつ)にアメリカ側と交渉して侵入を阻止するように命じた。老中・阿部正弘を首班とする幕閣は開明派江川の才覚に期待して彼を勘定吟味役格に任じ、対米交渉に参画させた。江川はひそかに「切り札」を用意していた。
2018/10/22
-
つながり支援や企業連携で災害対策強化
災害やテロなど有事に友人に無事を知らせるほか、支援の提供を申し出たり受けたりできるフェイスブックの機能である「災害支援ハブ」。安否確認については世界で1400回以上起動し、2017年11月時点で累計約30億人が利用した。日本でもここ2年で19回発動しているという。この機能ができたきっかけは2011年の東日本大震災だった。フェイスブック ジャパン代表取締役の長谷川晋氏に災害への取り組みを聞いた。
2018/10/19
-
敗戦国日本を襲った大地震・福井地震から70年~震度7(激震)が加わった日~
東京都千代田区平河町という都心にすっくと立つ日本都市センター会館。その8階に防災専門図書館がある。「防災・災害に関する唯一の専門図書館」をかかげる同図書館は、1956年に開設、蔵書約16万冊を誇る。災害関連の貴重な古文書も少なくない。(公社)全国市有物件災害共済会が運営し、年間約1700人の来館がある。
2018/10/15
-
第4回:証拠映像ですら「証拠」と見なされなくなる時代
昔、国会の証人喚問で都合の悪いことを聞かれたある実業家が、「記憶にございません」を連発して流行語になりました。あれから40年以上を経た今日、依然として「記憶にございません」でその場をしのごうとする人々がいることは、なんとも残念なことです。こういう問題こそ、AIで何とかならないものでしょうか。どんなにうそをついても、あるいは電子的にやり取りしたり、テキストで保存したものを消去したつもりでも、AIを駆使すれば、時間をさかのぼって悪事の痕跡をやすやすと暴き出すことができるかもしれません(これはあくまで筆者の希望的観測ですが)。
2018/10/11
-
軍部に屈しなかった<気象学の父>岡田武松
不世出の気象学者岡田武松(おかだ たけまつ、1879~1956)は、その生涯のすべてを気象研究と気象事業の発展さらには後進の育成に燃焼させた。太平洋戦争の無残な現実が生々しく残る昭和24年(1949)、鈴木大拙、津田左右吉、志賀直哉らとともに文化勲章を受賞した。昭和26年(1951)には創設の第1回文化功労章顕彰にあたって、文化面で日本が世界に誇り得る研究者として、日本初のノーベル物理学賞受賞者の湯川秀樹らとともにその栄誉に輝いた。岡田の気象研究、気象観測事業等での先駆的な不屈の精神を讃えたのである。(以下、「岡田武松伝」(須田瀧雄)、「寸描 岡田武松博士」(馬渡巌)より適宜引用する)
2018/10/09
-
第3回 消火器で火災は消せません!
初期消火といえばまず身近にある消火器ですね。しかし、消火器ではなかなか火が消せないんです。消火器で消火できる火災はほんとうに初期の、初期のものだけです。それでも、その場で消さないとたちまち火が大きくなってしまう。ですから、初動が極めて重要になるのです。
2018/10/02
-
「黎明の鐘」となれ!~<日本マラソンの父>金栗四三と恩師・嘉納治五郎~
2年後に東京オリンピック大会を控えて、戦前オリンピック大会初出場をはたした金栗四三(かなぐり しぞう、1891~1983)を語りたい。同時に師・嘉納治五郎との師弟愛にも触れたい。(金栗四三には、「かなくり しそう」との呼び方もある)。金栗を知らない読者も少なくないのではと考え、その功績を略記する。彼は近代日本を代表する名マラソン選手で、師範学校教師、熊本県初代教育委員長など公職を歴任した。箱根駅伝の実現に尽力し、日本に高地トレーニングを導入した。日本マラソン界の発展に大きく寄与するなど、日本の「マラソンの父」と称される(全国マラソン連盟会長、日本陸上競技連盟顧問でもあった)。
2018/10/01
-
第3回:あなたは人間?それとも機械?
1990年代半ば、パソコンやソフトウェアが爆発的に普及するようになると、各メーカーは操作方法や故障、トラブルなどの相談や解決を引き受けるカスタマーサービスを充実させるようになりました。また金融機関や通販サイトなどは、商品の説明をしたり、申し込みや問い合わせ、クレームなどを受け付けるコールセンターを設けるようになりました。
2018/09/27
-
<戦前最長>野田醤油労働争議と<関東大震災時>の福田村虐殺事件
私は柏市に転居して以来、柏市はもとより隣接する野田市・我孫子市など(東葛飾地方)の歴史に関心を持ってきた。野田市関連では、戦前最長の218日にも及んだ野田醤油(現キッコーマン株式会社)の労使紛争と関東大震災時に発生した福田村虐殺事件(当時の香川県三豊郡、現観音寺市および三豊市の薬売り行商人15人のうち、妊婦や2歳、4歳、6歳の幼児をふくむ9人が斬殺された事件。妊婦の胎児を含め10人とする見方もある)に強くひかれるものがあった。2つの事件は、地元野田市ではタブー視するか「黙して語らない」傾向にあった。
2018/09/25
-
避難指示を受け取る側に立った情報提供のあり方
毎年のように日本列島を襲う水害・土石流・地震などの災害時における避難勧告や避難指示のあり方がクローズアップされている。災害時に、地元自治体などが発する勧告・指示が地域住民に適切に(タイムリーに)伝わっているのか、疑問視する声も聴く。同時に、勧告・指示を受けた地元住民が避難しようとしない「勧告無視・避難拒否」も重大な社会問題になっている。
2018/09/18
-
第2回:自動運転車の登場で交通事故は減るか?
よく晴れた休日の朝、朝食を終えたあなたは、自宅の車庫に待機している自分で充電し終えたばかりの「自動運転車」に話しかける。「今日は絶好のドライブ日和だなあ。僕ら家族をどこかリフレッシュできる場所に連れていってくれないか?」。すると自動運転車は答える。「東名を通って箱根方面はいかがでしょう? 今日なら富士山もよく見えますよ…」。
2018/09/13
-
第2回 昭和のバケツリレーに秘訣あり!
火災は人間が唯一防げて、コントロール可能な災害なのです(だから防火防災なのです)。江戸時代は水道などないわけで水が貴重であるためほとんど水による消火はなかったようです。さすまたは防犯用ではなく火災時の破壊道具として使われることもありました。ですから、消防署の地図には、さすまたのマークが使われていますよね。
2018/09/11
-
豊饒の湖水~琵琶湖畔の歴史と芸術に魅せられて~
7年ほど前のことである。私は琵琶湖総合開発をテーマにしたノンフィクションの月刊誌連載にそなえて、同湖畔を時間の許す限り跋渉(ばっしょう)した。この時、日本最大の湖・琵琶湖が河川法上は「一級河川」であることを知った。東西南北の湖畔を訪ね、光り輝く湖面の向うになびくたおやかな山々を見つめるたびに、私は感動に包まれた。「水と光の織りなす交響詩」の感銘を深くすることがたびたびであった。私は琵琶湖を舞台にした歴史書や文学書はもとより、琵琶湖の生態系や水質などを主題にした図書や学術論文にも目を通した。資料を精読し、かつ名所旧跡を歩きまわり、湖畔近くに立つ神社仏閣にたたずむうちに、私は琵琶湖の尽きない魅力に取りつかれて行った。
2018/09/10
-
大災害、なぜ逃げないのか
「やはり、そうか」。朝日新聞(2018年8月27日付)の記事を読んで、失望の念を深くした。記事の大見出しは言う。「大雨の特別警報で避難指示、実際に避難 住民の3%弱」。30%ではない。わずかに3%!である。水害が迫っていても、「あえて避難しない」のか、それとも「とても避難できない」のか。
2018/09/03
-
地方データセンターで災害対策と省エネ
ICTの進展により、年々重要性が増し続けるデータセンター。集中する企業の所在同様、63%は首都圏に置かれている。株式会社データドックの宇佐美浩一社長はBCP(事業継続計画)の面からも現状を疑問視。災害対策と省エネの観点から新潟県長岡市でデータセンター事業を展開する。
2018/08/31