2025/05/15
定例セミナーダイジェスト
SSBJサステナビリティ開示基準への対応と
求められる企業価値向上への取り組み
ESGリスク勉強会 4月22日
アビームコンサルティング
マネージャー 神岡紀明氏
シニアコンサルタント 石原大州氏

サステナビリティ活動の財務インパクト分析が必須
ESGリスク勉強会は4月22 日、東京・千代田区の朝日ビル会議室で開催。3月に公表された「SSBJ サステナビリティ開示基準」について、アビームコンサルティングマネージャーの神岡紀明氏とシニアコンサルタントの石原大州氏が、基準公表の背景や意義、基準の構成・内容、企業に求められる対応などを解説した。
サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が3月に公表した「SSBJ 開示基準」は、企業のESG 活動を評価する「ものさし」となるもの。これまでの国際的なサステナビリティ開示基準(ISSB開示基準)と整合を図るかたちで開発され、今後、国内ではSSBJ 開示基準での有価証券報告書への法定開示が検討されている。
神岡氏はESG 活動の情報開示について「これまでは複数の開示基準が乱立し、企業間の比較ができないという問題があった。統一の基準ができることで、今後は国際的に比較可能な開示文書を作成するようになる」と話した。
SSBJ 基準はプライム上場企業を対象に、2027 年3月期以降、時価総額の大きな企業から順次適用される予定。開示の枠組みは「適用基準」「一般基準」「気候基準」の3つから成り「構成は変えているものの、内容はISSB基準を基本的に踏襲している」という。
神岡氏はISSB 基準と比較しながら、SSBJ基準の開示内容と要求事項を解説。求められる情報の要素や精度、プロセスを説明したほか、決算から開示までのタイミングが早まる、一部の情報開示に第三者保証が必要になる、開示範囲が財務諸表と同じ連結範囲とバリューチェーンに広がる、などの注意点を述べた。
企業に求められる対応では、石原氏が「投資家の意思決定に資する情報とするため、財務インパクトと関連づけなければならない。非財務・財務の価値関連分析が必要」と指摘。開示タイミングの早期化や第三者保証、開示範囲拡大への対応と合わせ「データマネジメントの高度化が求められる」と話した。
またそのためには「サステナビリティ情報を一元的に管理する情報基盤の構築が不可欠」と提言。この情報システムで広範なデータを収集・管理、かつ財務情報と紐づけて分析・活用することで、ESG 戦略の意思決定を高サイクルでまわすといったイメージを示した。
・引き続きISSB、SSBJ の話をうかがいたい。
・中長期的なロードマップの中でシステムと業務の構築を両立する必要がある点が新たな気づきだった。
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