2025/06/04
防災・危機管理ニュース
日本政府は、韓国の新大統領に選ばれた李在明氏の対日姿勢を注視する。李氏は選挙戦で日韓・日米韓連携を重視する方針を打ち出したものの、対日強硬派に位置付けられてきた。新政権が「反日」路線に回帰するとの懸念が消えない中、石破茂首相との日韓首脳会談の月内開催に向けた調整を急ぐ。
林芳正官房長官は3日の記者会見で「現下の戦略環境の下、日韓、日米韓協力の重要性は変わらない。日韓関係の安定的発展に向けて、しっかりと意思疎通する」と述べ、引き続き日韓関係の維持・発展を目指す考えを示した。
東アジアでは中国が軍事的野心を隠さず、北朝鮮も核・ミサイル開発を進展させるなど、日韓両国を取り巻く安全保障環境は悪化している。このため、尹錫悦前大統領は日韓関係悪化の最大要因となっていた元徴用工問題の解決策をまとめ、日韓、そして共通の同盟国である米国を交えた3カ国連携の強化にまい進した。
保護主義的な経済政策や「米国第一主義」のディール(取引)外交を展開するトランプ米政権も誕生し、日韓の連携はさらに重要性を増す。国際情勢の変化を受け、李氏も選挙戦では日本を「重要な協力パートナー」と呼び、日米韓連携を堅固にすると訴えた。尹氏の外交路線の継続を明確にしたものだが、日本政府内には李氏の「本心」と捉える向きは少ない。
李氏が過去に日本を「敵性国家」などと厳しく批判していたためで、日本外務省幹部は「李氏だけでなく、周辺にも革新系が集まっている」と指摘。戦後80年を迎える中、慰安婦など歴史問題の再燃を危惧する声も上がる。
6月はカナダで15~17日に先進7カ国首脳会議(G7サミット)が、24~25日にはオランダ・ハーグで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が予定されている。新大統領が出席するかは現時点で不透明だが、日韓両政府はこうした機会に合わせた両首脳の初会談を探る。首相周辺は「まずは国際会議の場を利用して、初顔合わせを行うのが順当だ」と語った。
〔写真説明〕首相官邸に入る石破茂首相=3日、東京・永田町
〔写真説明〕記者会見する林芳正官房長官=3日、首相官邸
(ニュース提供元:時事通信社)


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