2018/09/18
東京2020大会のリスク対策
選手は車、観客は鉄道
2020年東京オリンピック・パラリンピックは、選手・関係者の移動で主に選手村から競技会場への移動でバスが調達台数で約2000台、乗用車は約4000台が必要と見込まれている。選手や関係者の移動は自動車、観客は主に鉄道。東京都、内閣官房、大会組織委員会では混雑緩和に向けた取り組みを「2020TDM推進プロジェクト」として民間にも協力を呼びかける。また道路や鉄道の混雑具合の予想として「混雑マップ」の作成も行う。
大会組織委員会では2017年6月に最初の輸送運営計画を策定した。選手・関係者の移動ルートについては主に高速道路だが、東京都オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部輸送課長の松本祐一氏は「高速道路に専用レーンを全面的にひくことは、車線もそう多くないので現実的ではない」としている。専用レーンを設けても、ジャンクションなどでどうしても一般車が走る場所と交錯が生じるため。警察や高速道路会社といった関連機関とも協議。迂回も含めてその時の交通状況に応じた移動オペレーションを行う。
「2012年のロンドン大会や2016年のリオデジャネイロ大会のような(選手村と周辺に会場を集中させた)オリンピックパークは東京では設定していない。ただ、東京湾岸エリアは会場が多く、ここの混雑は定時性確保のために避けたい」と松本氏。オリンピックは全42競技会場のうち都内湾岸エリアに14会場と中央区晴海に選手村、江東区有明の東京ビッグサイトにはメディアセンターが置かれる。
選手村からの移動は環状2号線が大きな役割を果たすとされてきたが、ルートの一部となるはずだった築地市場の移転が遅れたことにより、地下トンネルを含めた完成は大会には間に合わず、築地市場の横を通る暫定道路で運用することとなる。10月に開場する豊洲市場など物流上も重要な道路となることから混雑の不安が残る。
観客については、主に鉄道で会場の最寄り駅まで移動し、そこから各競技会場まで歩くこととなる。湾岸エリアでは例えば1万5000人を収容するオリンピックアクアティクスセンターで開催される水泳は決勝が午前に開催されることが決定。ほかにも同規模の有明アリーナでのバレーボールも午前中の試合が一部予定されている。朝の通勤ラッシュに重なる人気競技があるため、会場への主なアクセス手段となるりんかい線やゆりかもめのほか、乗り換え駅に接続するJR京葉線や東京メトロ有楽町線などのさらなる混雑も懸念される。外国人や地方からの混雑した電車に慣れていない観客も多い。最寄り駅から会場への安全確保、多言語での案内といったものも必要だ。
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