2018/09/11
東京2020大会のリスク対策

東京2020オリンピックは2020年7月24日に開幕し、33競技339種目で競われます。参加する選手は最大1万1090人。8月25日開幕の東京2020パラリンピックは22競技、540種目で選手数の最大4400人です。
1964年の東京オリンピックと比較すると、種目数は163から339とほぼ倍になっているにも関わらず、全体日程は2日間しか延びていません。東京2020オリンピック・パラリンピックは、規模が大きいだけではなく日程的にかなり過密で複雑なイベントになっています。


「オリンピックは平時における世界最大かつ最も複雑なイベント」というソルトレイク2002大会組織委員会のミット・ロムニー会長の言葉は我々の業界の格言となっています。
東京2020大会の来場観客数は1000万人と言われています。2012年のロンドン2012大会では、チケットを持たない観客や大会中のライブサイトなどの観客を含めた人出が約2000万人でしたから、すべての観客数となると、このくらいになると考えた方がいいでしょう。ボランティアを合わせたスタッフだけでも12万人に上り、サッカーワールドカップと比較しても桁違いなイベントです。
世界最大のイベント警備は、必然的に世界最大になります。治安機関も含めたセキュリティ要員は5万人を超えると見積もられています。
想像できることは創造できる
私はイベントのセキュリティの第一歩は脅威を想像することだと考えています。そして、脅威に備えて関係機関や国民一人ひとりを巻き込んで準備することが重要になります。発生時の甚大性から我が国における最大の脅威として挙げられるのは、テロと自然災害です。
我が警備局のモットーは想像と準備です。私が警視庁に所属していたときに警視庁内にオリンピック・パラリンピック対策本部が設置されていましたが、そこのスローガンに「想像できることは創造できる」と書かれていました。私が尊敬する先輩の言葉に「憂いなければ備えなし」という言葉があります。これらの格言に共通するのは、具体的なリスクや憂いを想像し、それに備えた準備を実施するという点です。
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- 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
- 岩下剛
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