【イスタンブール時事】英海事機関UKMTOは16日、ペルシャ湾とホルムズ海峡で電子妨害の増加が多数報告されていると明らかにした。イスラエルとイランの交戦激化で地域の広範囲で電子妨害は増えているものの、「ペルシャ湾内での水準と強度は船舶自動識別装置(AIS)による位置情報の報告に甚大な影響を与えている」と指摘した。
 イラン南部から電子妨害が行われているとの報道もあるが、詳細は不明。ホルムズ海峡は世界の原油輸送の2割が通る大動脈で、中東へのエネルギー依存度が高い日本に向かうタンカーも多数通過する。
 ホルムズ海峡に通じるイラン領海内では近年、イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」による拿捕(だほ)などの妨害活動が多発。2019年には同海峡近くで日本の海運会社運航のタンカーも攻撃された。
 ホルムズ海峡を巡っては、イラン周辺で緊張が高まるたびに船舶の航行への影響を懸念する声が浮上する。今回のイスラエルによるイラン攻撃後も、同国の有力国会議員が「海峡封鎖を真剣に検討している」と発言した。
 ただ、制裁で経済低迷が続くイランにとっても、ホルムズ海峡は原油や天然ガス輸出の生命線だ。封鎖すれば経済的な悪影響が跳ね返るリスクも大きく、可能性は低いとの見方が大勢だ。 
〔写真説明〕ホルムズ海峡を通過する石油タンカー=2018年12月(ロイター時事)

(ニュース提供元:時事通信社)