金融庁は22日、米アンソロピックの「クロード・ミュトス」をはじめとする最新人工知能(AI)モデルがサイバー攻撃に悪用される事態に備え、金融機関に「短期的対応」を要請した。非常時にシステムを能動的に停止する選択肢についてあらかじめ検討するよう求めたほか、経営トップが全社的な経営課題として扱う必要性に言及した。
 14日の官民連携会議作業部会での議論を踏まえ、要請文をまとめた。片山さつき金融相は22日の閣議後記者会見で「AIによる脅威に対し、金融機関の迅速な対応を促していく」と強調した。
 ミュトスはシステムの脆弱(ぜいじゃく)性を発見する能力に優れ、金融システムに打撃を与える可能性が懸念されている。
 金融庁は、弱点を修正するプログラムの適用により、システムや作業の負荷増大が想定されることから、優先的に対応すべきシステムやサービスの事前特定を要請。特に、外部に公開されるインターネットバンキングなどのシステムを最優先と位置付けた。それでも攻撃を防御できない場合、能動的なシステムの停止も選択肢とした。
 片山氏は会見で、先週来日したベセント米財務長官から、2週間以内にミュトスへのアクセス権を日本政府や金融機関に付与すると伝えられたと明らかにした。アンソロピックはミュトスを一般公開しておらず、アクセスできるのは米国の一部企業や団体などに限られるが、アクセス権が確保できれば、事前に弱点を見つけて修正するなど防御力向上につなげられると期待されている。
 片山氏は同日午後に財務省内で松本尚サイバー安全保障担当相と会談。日本の重要インフラのうち金融分野から先行して、ミュトスのアクセス権確保などの対応を進めることを確認した。 
〔写真説明〕握手するベセント米財務長官(左)と片山さつき財務相=12日、財務省(同省提供)

(ニュース提供元:時事通信社)