2025/07/01
防災・危機管理ニュース
能登半島地震の被災地で、高齢者1人当たりの医療費が急増していることが、石川県後期高齢者医療広域連合への取材で分かった。地震発生から1日で1年半。復興が長期化する中で心身に不調を抱える人が増え、どう支援体制を築くかが課題となっている。
広域連合によると、2024年度に75歳以上の後期高齢者1人にかかった医療費(速報値)は輪島市が99万8131円、珠洲市が101万2399円。地震の影響がなかった22年度と比べ、それぞれ20%、35%増えた。穴水、能登両町でも約1.1倍となった。
背景として、長い避難生活や環境の変化があるとみられる。能登北部医師会会長の千間純二医師は「避難中ほとんど歩かなかった人も多く、一度足腰が弱くなった人は、ちょっとしたことで転倒してけがをしやすい」と指摘する。
公立穴水総合病院の中川卓也理学療法士は「仮設住宅に入って一度は前向きになったものの、先が見えず精神的に参ってしまう人が目立つ」と話す。6月末まで一部被災者の医療費窓口負担が免除され、「自己負担がゼロのうちに悪い所を治療して健康を維持しようという人も多かった」という。
中川さんは県の委託で仮設住宅に住む高齢者の見守り活動を担う。「今は多くの団体と協力しているが、災害から2年たてば支援は少なくなる。その時にどう守っていくかが課題だ」と語る。
地震後は人口流出が続き、バスやタクシーも減った。能登町で診療所を営む瀬島照弘医師は、医療を必要としながら受けられない「医療離脱」が増えると懸念する。
輪島市町野町の仮設住宅に1人で暮らす女性(90)は、2週間に1度の隣町への通院に、金沢市内に住む次男の助けを借りる。風邪などで体調を崩しても「思った時に病院に行けない」と漏らす。
被災地ではスタッフ不足などで訪問診療が難しくなっているといい、瀬島医師は「今まで通りの医療を継続する仕組みを、行政や医療機関全体で考えなければならない」と訴える。
〔写真説明〕仮設住宅の住民を訪問する理学療法士の中川卓也さん(左)=6月20日、石川県穴水町
(ニュース提供元:時事通信社)

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