【北京時事】中国外務省は14日、国民に対し日本への渡航を控えるよう呼び掛ける通知を出した。高市早苗首相の台湾有事を巡る発言で「中日の人員交流の雰囲気がひどく悪化した」と理由を説明しており、報復措置とみられる。中国国内で渡航自粛ムードが広がれば、訪日客の動向に影響しそうだ。

 通知では、「日本の指導者が台湾に関し露骨に挑発する発言をし、中国人の身体と生命の安全に重大なリスクをもたらしている」と主張。日本在住の中国人に対しても、安全に注意するよう求めた。

 日本政府は15日、「建設的かつ安定的な関係」の構築など日中関係の大きな方向性と相いれないとして、中国側に「適切な対応」を取るよう事務レベルで強く求めた。

 習近平政権は、台湾有事が「存立危機事態」に該当し得るという高市氏の国会答弁に強く反発している。13日には中国外務省の孫衛東次官が金杉憲治・駐中国大使を呼んで抗議し、発言の撤回を要求。撤回しない場合、「一切の責任は日本側が負わなければならない」と表明した。

 一方、日本側も外務省の船越健裕事務次官が14日、呉江浩・駐日大使を呼び、薛剣・駐大阪総領事が高市氏の発言を巡りX(旧ツイッター)に「汚い首を斬ってやる」などと書き込んだことに抗議。適切に対処するよう強く求め、日中間で非難の応酬に発展した。

 日本政府観光局の統計によると、今年1~9月の中国からの訪日客数は約749万人と国・地域別では最も多い。中国の航空各社は15日、日本発着便の航空券のキャンセル料を一時的に無料にすると発表。今回の通知は、訪日客や日中間の交流事業などに影響する可能性がある。 (了)

(ニュース提供:時事通信 (2025/11/15-17:46)

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